2024年11月20日(現地時間)、BMWは次世代EVシリーズ=Neue Klasse(ノイエ・クラッセ)の第一弾となるSUVモデルの量産試作車(タイトル写真参照)がラインオフしたことを明らかにした。同車は2023年3月に公開されたコンセプトモデル「BMW ビジョン・ノイエ・クラッセX」に基づく中型SUVであり、2025年後半からハンガリーのデブレツェン工場で量産を開始する。

コンセプトカーのイメージをほぼ踏襲、車名は「iX3」の可能性が高い

公開された画像はタイトルに掲載された1点のみだが、すでに各地で実施されていた公道テストの模様、漏れ伝わる欧州特許局に申請された意匠登録用図面などから、ビジョン・ノイエ・クラッセXの量産車はコンセプトカーとほぼ同じデザインイメージをまとうことが確認されている。異なるのは、ヘッドライトやフロントグリル、そしてサイドミラーなど。あとはタイヤ/ホイールのサイズが、やや小ぶりになるところか。

ノイエ・クラッセのコンセプトは、すでに発表された新型車にも反映されている。2024年末から日本でも発売が始まる新型X3の内外装にはビジョン・ノイエ・クラッセXからの影響が濃厚に漂う。ゆえに水面下では、2025年に発売される新しいSUVモデルの車名は「iX3」となると言われているのも道理だ。いうまでもなくX3はBMW最多の販売台数を誇るグローバルモデルであり、そのシリーズに組み込むことはノイエ・クラッセの船出を飾るに相応しい。

画像: 「ビジョン・ノイエ・クラッセX」(左)と間もなく日本でも発売される新型X3。デザイン処理には共通点が多い。ただしフロントグリルやヘッドライトをはじめ、フロントマスクは差別化される。

「ビジョン・ノイエ・クラッセX」(左)と間もなく日本でも発売される新型X3。デザイン処理には共通点が多い。ただしフロントグリルやヘッドライトをはじめ、フロントマスクは差別化される。

もちろん、その中身は別物だ。ガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッドをラインナップする新型X3は内燃機関用に設計されたCLARプラットフォームを採用し、基本的には前型の進化版と言える。対して、次世代iX3はスケートボード構造をベースとした本来の意味での「EV専用アーキテクチャー」だ。さまざまなボディタイプ、サイズ、パワートレーンの配置に対応し、OTAでバージョンアップされるハードウェアとソフトウェアが重層的に重なる。内燃機関用をベースにEVにも使えるようにアレンジした従来型の構造とは大きく異なる。

コクピットの造形にも共通点が見いだせるものの、インフォテインメント機能は新型X3と次世代iX3では大きく異なることになる。物理スイッチはほとんど廃され、ドライバーはAIとのコミュニケーションによってクルマを操るデジタル環境に身を置くことになるだろう。

画像: 「ビジョン・ノイエ・クラッセX」のコクピット(上)。色使いはともかく量産型にかなり近いはずだ。下は新型X3のM20 xDrive M Sport。

「ビジョン・ノイエ・クラッセX」のコクピット(上)。色使いはともかく量産型にかなり近いはずだ。下は新型X3のM20 xDrive M Sport。

ちなみにノイエ・クラッセ・プラットフォーム採用の第1弾となる次世代iX3は、800Vの充電アーキテクチャーを採用し、シングルモーターとデュアルモーターが選択可能になる。搭載されるバッテリーはNMCのみになる可能性が高いが、エネルギー密度は従来型iX3より20%向上して充電時間も短縮、航続距離は700kmを大きく超えてくる。V2HやV2Gをはじめとする双方向充放電システムの採用も既定路線だ。

画像: V2HやV2Gに代表される双方向充放電システムも搭載する。写真はビジョン・ノイエ・クラッセX。

V2HやV2Gに代表される双方向充放電システムも搭載する。写真はビジョン・ノイエ・クラッセX。

次世代iX3が登場する2025年には、ライバル各社からも次世代EVが続々と登場する。誤解を恐れずに言えば、従来のEVはパワートレーンをエンジンからモーターに置き換えた段階だったが、今後登場するEVは「EVでなければできないこと=SDV(Software Defined Vehicle)関連技術」を積極的に採り入れてくる。つまりEVは次のステージに移行を開始するのだ。そんなダイナミックなトレンドの変化の中でも、次世代iX3にはさらなる高みに上る「駆けぬける歓び」を期待してしまう。続報が楽しみな1台だ。

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