すでに量産ラインの試験稼働も開始された
2021年に初公開されたコンセプトカー「CHILL-OUT(チルアウト)」は、後に日産自身が正式に認めた次期リーフのコンセプトカーだ。その変貌は正常進化といえる初代から第二世代とはかけ離れ、まったく別のクルマに生まれ変わる(それゆえ、第3世代ではリーフではなく別の車名が与えられるという予想もあるが、本稿ではあえて新型リーフと呼ぶ)といってもよいほどだ。
そんな新型リーフだが、欧州某所の郊外路で公道走行テストをする量産プロトタイプの姿が撮影され、海外の自動車メディアを賑わせているようだ。ちなみに新型リーフの生産は、英国サンダーランド工場を皮切りに2025年第1四半期(2025年4月以降)から始まると言われている。
同工場は日産の欧州最大規模の生産拠点であり、欧州市場向けのリーフ、キャシュカイ、そしてジュークを生産している。日産は「EV36Zero」と名付けた工場拡張プロジェクトに基づき、同工場の生産ラインをEV生産に刷新して、周辺にはバッテリー工場を建設するなどの大プロジェクトを敢行、すでに一部が試験稼働を始めている。
この新装なった工場から出荷される最初のクルマが新型リーフなのだ。すでに量産試作が始まっており、今回撮影された車両はそのうちの1台で、最終段階の確認走行が行われたものだろう。
その写真はここには掲載できないが、全体のフォルムは2024年3月25日に発表された経営計画「The Arc」の冒頭に流れたビデオに一瞬写っていたシルエットそのものだ。ただし画面が暗く、細部はよく見えない。今回撮影された写真は昼間なので、迷彩柄のフォルムとその下にわずかなクッション材を挟み込んで偽装されてはいるが、ビデオでは見えなかったいくつかのディテールが確認できる。
まず、全体の印象だがビデオのそれよりも、さらにSUVライクである。敢えて言えばテスラモデルYに近いだろうか。流麗でありながら重厚感があり、チルアウトよりも厚みがある印象でまさにミニ アリアといった趣だ。タイヤ&ホイールサイズはコンセプトカーよりも小さく常識的な範囲で、市販車とほぼ同じだと推察できる。
フロントバンパーのナンバープレート下には、レーザーセンサーとカメラのユニットが配置されていることも確認できるが、高価なLiDARの採用は見送られている模様。またリアのテールゲート上端はダックテールスポイラー風に軽く跳ね上がったシェイプに仕上げられており、これはチルアウトには見られなかった処理である。
また、前席ドアハンドルはサーフェス化されたレバー式、後席ドアのそれはドアサッシュ上部にビルトインされている。さらに、充電ポートが従来のフロントグリルから、一般的なリアフェンダー(写真では左側だった)に移動されている。