2024年11月13日、メルセデス・ベンツ日本はEVブランド「EQ」シリーズのフラッグシップセダン、EQSのマイナーチェンジを発表した。グレード編成は従来と変わらず「EQS 450+」と「メルセデスAMG EQS 53 4マティック+」のふたつで、すでに注文受付を開始。2024年11月以降の納車を予定しているという。

※記事内の写真はすべて欧州仕様のEQS 580であり、日本で販売されるモデルとは異なります。

シルエットはそのままにSクラスらしさを強調

2022年にメルセデスベンツ EQSが日本で発売されてからおよそ2年経過した2024年11月13日、デザイン変更をともなうマイナーチェンジを受けることが発表された。

EV版のハイエンドセダンとして登場した当初、ボンネットフードからルーフ、テールゲートまでを1本のラインで描くワンボウ(弓)のシルエットは、驚きをもって迎えられた。この構成はくつろぎの空間をつくりあげるためにキャビンスペースを最大限確保するキャブフォワードデザインであったり、また環境性能を優先するためエネルギー効率を良くする空力性能など、さまざまな要素が詰め込まれたもので、ハイエンドEVセダンというキャラクターに見合ったコンセプトでもあった。

しかし一方で、ガソリンエンジンを搭載したSクラスとはイメージを異にすることから、そのスタイルに戸惑う声もあったようだ。そうした中で迎えたマイナーチェンジ。シルエットこそ変わっていないが、Sクラスのエッセンスを取り入れたかのようなデザインに刷新され、より親しみやすさを感じるものになった。

変化がもっともわかりやすいのは前方から見た印象だ。強い冷却性能をほぼ必要としないEQS(EQS 450+)のフロントグリルは従来、「ブラックパネル」と呼ばれる樹脂素材で覆われ、大きなスリーポインテッドスターと無数の小さなスリーポインテッドスターを埋め込んでダイヤモンドグリルを再解釈するとともに、EVらしさを演出するデザインとなっていた。

画像: Sクラスのフロントグリルのように、ルーバーをデザインとして取り入れた新型EQSのブラックパネル。

Sクラスのフロントグリルのように、ルーバーをデザインとして取り入れた新型EQSのブラックパネル。

ところが新型EQS 450+では、まるでSクラスのような格子状のクロームルーバーを合わせてきた。しかもスリーポインテッドスターはボンネットマスコットとしてフード先端に移動、旧来から親しまれているメルセデスベンツらしいスタイリングを再現しているのだ。

外観における変更点はフロントマスクだけだが、半ドア状態を防止するソフトドアクロージング機能や電動充電フラップを新たに採用するなど、利便性を向上させる機能の追加もある。

バッテリーを118kWhに拡大して航続距離は759kmに

インテリアにおいては、EQS 450+にMBUXハイパースクリーンが標準装備となった。フロントの左右ピラーの間を羽のように伸びた全幅141cmのディスプレイパネルが埋め尽くし、メーター(12.3インチ)/センター(17.7インチ)/助手席用(12.3インチ)の画面が表示される。

この助手席用ディスプレイには走行中でもエンターテインメントを楽しめるようにさまざまなコンテンツを用意されるが、ドライバーが運転に集中できるように特定コンテンツを再生している際は画面を減光したり、またBluetooth対応のイヤホンやヘッドセットを利用することが条件となっているなど、安全性への配慮も怠っていない。

画像: センターと助手席用のディスプレイには高精細な有機ELディスプレイ、そして触覚フィードバック機能も採用される。

センターと助手席用のディスプレイには高精細な有機ELディスプレイ、そして触覚フィードバック機能も採用される。

パワートレーンに目を移すと、回生ブレーキが最新世代にバージョンアップしている。減速時により効率的にエネルギーを回収できるようになると同時に、機械式ブレーキのマスターシリンダーを最適化してブレーキのタッチフィーリングを向上させているという。

モーターパワーは265kW/360ps(従来は245kW/333ps)に向上するとともに、駆動用リチウムイオンバッテリーの容量はおよそ10%ほど拡大して118.0kWh(同107.8kWh)としている。これにより一満充電での走行可能距離は759kmを達成。この数値は、現在日本で販売されているEVのなかで最長のものだとしている。

また前後2モーターを搭載する4WDのハイパフォーマンスモデル、メルセデスAMG EQS 53 4マティック+にはディスコネクトユニット(DCU)と呼ばれるシステムが統合される。これはフロントの電動パワートレーンに備えられたクラッチを走行状況に応じて切り離すことで後輪駆動とし、電力消費量を抑制できるというものだ。作動状況の例として「高速巡航時」が挙げられている。

これだけのバージョンアップをしていながら車両価格はほぼ変わっていない。

メルセデスベンツ EQS ラインナップ

EQS 450+(ハンドル位置 左/右)RWD:1535万円
メルセデスAMG EQS 53 4マティック+(ハンドル位置 左/右)4WD:2395万円

メルセデスベンツ EQS 450+ 主要諸元(欧州仕様)

●全長×全幅×全高:5216×1926×1512mm
●ホイールベース:3210mm
●車両重量:2712〜2760kg
●パワーユニット:1モーター
●モーター最高出力:265kW(360ps)
●モーター最大トルク:568Nm
●バッテリー容量:118.0kWh
●駆動方式:RWD
●走行可能距離(WLTCモード):759km

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