米国のEV販売の減速を受けて、「GM、フォードはEV投資を大幅見直し」といった報道を目にする昨今ですが、果たして本当のところはどうなのでしょうか。真っ先に飛びつくが見切りも早い米国型ビジネスの典型がここでも認められるのか、そうでなく一時的な調整なのか。その辺りの真意を7月下旬の両社の2024年第2四半期決算会見から探ってみます。(タイトル写真はGMシボレーの看板車種、シルバラードピックアップトラックのEV)

GMの好業績はICEのピックアップやSUVが牽引

GMの第2四半期(Q2)は、売上高、営業利益、キャッシュフローともに好調で、Q2としては過去最高の決算内容となりましたが、これを牽引したのは、シボレー・シルバラードやコロラド、トラバースなどのエンジン(ICE)車のピックアップトラックやSUVです。これらは最近新型が導入されており、需要が高く値引きも他社より抑えられており高い利益率を維持しています。

一方、EVも韓国LGと提携して開発されたアルティウムバッテリーを搭載したシボレー・ブレイザーやキャデラック・リリックなどのEVの納車が本格化し、Q2のEV販売は21,930台と前年同期比で40%増えています。年後半も航続距離480キロ(300マイル)、価格34,995ドル〜でデザインも若い顧客層から好評というシボレー・イクイノックスや、GMCシエラやキャデラック・エスカレードといった高級EVが導入され、EVの品揃えが充実していきます。EVの顧客の54%はGM以外のブランドからの流入で、メアリー・バーラCEOは、イクイノックスや2025年に新型を導入する小型車の「シボレー・ボルト」がEV拡販の大きな可能性を秘めていると述べました。

画像: GMのEV導入はこれから本格化する。コンパクトSUVのイクイノックスEVは34,995ドルからで若年層からの評価も高いという。

GMのEV導入はこれから本格化する。コンパクトSUVのイクイノックスEVは34,995ドルからで若年層からの評価も高いという。

また、ロボタクシーを開発・運用する子会社のクルーズ(Cruise)は、ホンダと共同で専用開発した「オリジン」ではなく、次期ボルトを使用してサービスを展開することも発表しました。クルーズは、昨年10月のサンフランシスコ市内での人身事故で加州当局からドライバーレス車両の運行許可を取り消され、結局6カ月もの間、全地域で有人車も運行停止を余儀なくされました。

大半の株式を所用するGMは、クルーズのCEOを更迭するなどマネジメント体制に大鉈を振るいましたが、クルーズに興味を失ったわけではないようです。バーラ氏は、AIを駆使して「模範的ドライバーより上手な運転の実現」に向けて8.5億ドルの追加投資をするなど、将来のロボタクシーの事業化とGMブランド車顧客向けの自動運転機能の充実に向けて、引き続き力を入れていく意向です。

画像: GMとフォードの2024年上半期(1〜6月)業績。売上高は遜色ないが収益力には差があり株価に反映されている。

GMとフォードの2024年上半期(1〜6月)業績。売上高は遜色ないが収益力には差があり株価に反映されている。

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