2024年4月25日、アウディジャパンは東京・千代田区にある正規販売店「Audi City 紀尾井町」のすぐ近くに、4台を同時に充電できる急速充電施設「Audi charging hub(アウディチャージングハブ)紀尾井町」をオープンした。採用された急速充電器は最高150kW出力のパワーエックス製蓄電池型で、アウディユーザーだけでなく他ブランドユーザーでも利用できる。

誰でも利用できる急速充電器でEV普及に繋げる

生産施設からリサイクル、サプライチェーンなどあらゆる方面でのカーボンニュートラルを目指すアウディは、2026年以降に発売する新型車はすべてEV(内燃エンジンの製造は2033年に終了)にする電動化戦略「Vorsprung 2030」をとっている。

アウディにとって「電気自動車メーカーになるための移行期」である2024年は、すでに発表されたQ6 e-tronと、数カ月後にはA6 e-tronセダン&アバントの公開も控えており、大きな転換期であることは間違いないだろう。

画像: 2024年内の発表を予定されているアウディ A6 e-tronアバントのコンセプトモデル。

2024年内の発表を予定されているアウディ A6 e-tronアバントのコンセプトモデル。

ラインナップのEV化は順調に進んでいるように見えるが、それでも実際にユーザーが使用していく中で重要になる急速充電施設の拡充は喫緊の課題としてある。

日本においてはフォルクスワーゲン/ポルシェと組んで「プレミアムチャージングアライアンス(PCA)」を展開して、3ブランドのオーナーであればいずれかの正規販売店や充電ステーションでCHAdeMO方式90〜150kWの急速充電を受けられるシステムを構築。すでに356拠点(2024年4月現在)で運用されている。

上述したとおり、これはあくまで特定ブランドユーザーに向けたサービスだ。一方で、EV普及に向けてドイツを中心にスイスやオーストリアで、だれでも急速充電器を利用できる施設「アウディチャージングハブ」を6拠点展開している。ドイツ・ニュルンベルクの施設には、アウディEVのリユースバッテリーによる蓄電機能と太陽光パネルを組み合わせ、最高出力320kWの充電ポートを6つ用意、2階にある200平方メートルの広いラウンジは仕事や休憩できるスペースとして利用されている。

充電速度の公称値、150kWに近い出力を実現

従来、欧州でのみ展開されてきたアウディチャージングハブが2024年4月25日、日本・東京にも設置されて運用をスタートした。これにより、外出先の充電器が少なかったり、都内の特に中心部では集合住宅が多いために「自宅で充電できない」など都市部における課題解決に向けて一歩を踏み出したかたちになる。初の拠点は千代田区紀尾井町で、正規販売店「Audi City 紀尾井町」の目の前だ。

この「アウディチャージングハブ紀尾井町」には、広くとった駐車スペースが4台分用意され、それぞれにCHAdeMO式急速充電器が備え付けられている。充電出力は最高で150kW、4台同時に充電したとしても各120kW出力で充電されるという。

ここに設置された急速充電器は2023年からPCAにも導入されてきたパワーエックス社のもので蓄電池型超急速EV充電器「Hypercharger」が2基だ。駐車スペースの屋根に設置された太陽光パネルが組み合わされて、再生可能エネルギーを712kWh(358kWh×2基)容量の蓄電池に溜めておくことができる。

画像: 屋根に太陽光パネルが設置されたアウディチャージングハブ紀尾井町。右隣にコンビニが、道路を挟んだ向かいにAudi City 紀尾井町がある。

屋根に太陽光パネルが設置されたアウディチャージングハブ紀尾井町。右隣にコンビニが、道路を挟んだ向かいにAudi City 紀尾井町がある。

急速充電器といえば一般的に、表示されている出力の半分強の電力しか充電できないことがあるが、パワーエックスの急速充電器はかなり近い数値を出すという。実際にQ8 e-tronを使って行われたデモンストレーションでは、メーター読みで145kWを示していた。これを維持し続けたとしたら30分で70kW以上、車種によっては走行可能距離にして400km分に近い電力を充電できることになる。

料金体系は現在、充電時間に対する課金「時間課金制」を採用しているが、今後充電した電力量に対する課金「従量課金制」を導入していく準備を進めているという。また、第2号拠点を東京・港区の芝公園、東京タワー近くに設置することも公表した。今後の展開に注目だ。

アウディチャージングハブ紀尾井町 概要

所在地:東京都千代田区麹町5丁目7-15
運営時間:24時間・年中無休
利用方法:PCAアプリもしくはスマホカメラで、QRコードを読み取って利用

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