総勢100近いブランドが会場内にひしめいた北京モーターショーですが、未だ販売店網が十分でない新興メーカーの多くは、市内の大型ショッピングモールにショールームを設けています。北京市の北東、広大な朝陽公園内にあるSOLANAモールには、まだ歴史の浅い新エネルギー車(NEV)メーカーが展示スペースを持ち、若者や家族連れが気軽にクルマを見て回っていました。(タイトル写真はスマホとAITO M7が一緒に展示されるファーウェイのショールーム)

EVブランドの中ではNIOが最も高級

NIO(上海蔚来)、Li Auto(理想)、Xpeng(小鵬)、ジーカー(Zeekr)、ポールスター、Lync & Co.、Luxeed(智界)、Yuang Hang(元航汽車)、Voyah(嵐図)、AVATR、AITO、フォルクスワーゲン。ざっと2時間ほどモール内を巡っただけでもこれだけのブランドを見ることができます。特に、Huawei(華為技術-ファーウェイ)傘下のAITOなどはスマホと同じ空間に並べられており、中国の消費者はスマホを買う感覚で、クルマをショッピングしていることがわかります。今回、モーターショー開幕前日にこのモールを案内してくれた中国自動車メディアの元編集者Hさんによれば、車もネットで注文するのでモール内で色々なブランドを比較できるのは便利とのこと。もう一つは、中国でも車の購入の最終決定権は女性にあるので、夫婦やパートナーと一緒に見るにはショッピングモールが都合が良いそうです。

中国の新興EV御三家と呼ばれたNIO、理想、小鵬といったメーカーが登場したのが10年前です。その中で、今一番販売台数が多いのはプラグインHEVの中・大型SUVで人気を博している理想で、昨年37万台(前年比+82%)を販売し、初の黒字化を達成して頭一つ抜けています。最近では、全長5.35mのMPV「MEGA」が、その独特のデザインで注目を集めています。

画像: 理想初のEVミニバン「MEGA」。500kWの急速充電に対応し航続距離は710km。価格は55万9800元(1165万円)から。空気抵抗係数(Cd)はわずか0.215で路上でも一際目を引く。

理想初のEVミニバン「MEGA」。500kWの急速充電に対応し航続距離は710km。価格は55万9800元(1165万円)から。空気抵抗係数(Cd)はわずか0.215で路上でも一際目を引く。

画像: MEGAの2列目から見たインテリア。天井からの巨大なディスプレイで後席でもゲームやカラオケを楽しめる。

MEGAの2列目から見たインテリア。天井からの巨大なディスプレイで後席でもゲームやカラオケを楽しめる。

しかし、EVで一番高級なイメージを持つのはNIOのようです。確かに、北京モーターショーで部分改良した大型セダン「ET7」を発表したウィリアム・リー会長は、NIOの各モデルの実売価格は40万元(880万円)を超えていると胸を張りました。NIOはバッテリー交換サービスを提供しており、そのステーションは全国で2400箇所にまで拡大しています。当初は、バッテリー交換サービスへの懐疑的見方もありましたが、奇瑞汽車(Chery)、長安汽車、吉利汽車などが今後ネットワークに参加するとのことです。実際にHさんの両親はNIOを6年間所有して、自分で充電したことはほぼ皆無とのことです。交換基地は上海で160ヶ所、北京でも100ヶ所ほどあり、アプリでどの種類のバッテリーが何%充電状態で何個あるかも簡単にわかるため、待ち時間もなく3分程度で電池交換ができてしまうのです。

画像: NIOのバッテリー交換ステーションに到着したET6。この後、ドック内へは自動運転でバックで入り下方からバッテリーが自動で交換される。この時は、標準サイズ6個とロングレンジ7個のバッテリーが用意されていた。

NIOのバッテリー交換ステーションに到着したET6。この後、ドック内へは自動運転でバックで入り下方からバッテリーが自動で交換される。この時は、標準サイズ6個とロングレンジ7個のバッテリーが用意されていた。

また、NIOハウスという顧客専用ラウンジを設けたり、点検やメンテナンス、充電のための引き取りやショーファーサービスまでフルパッケージで顧客のエンゲージメントを高める仕組みを展開しており、高級というイメージにつながっているようです。

画像: ショッピングモール内のNIOショールーム。スペースの使い方もゆったりしている。

ショッピングモール内のNIOショールーム。スペースの使い方もゆったりしている。

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