質実剛健、堅牢さは従来モデルから変わることはない
2030年に販売する全車をEV化することを計画していたメルセデス・ベンツがこれを撤回し、さまざまな顧客ニーズに対応できるパワートレーンを展開していく方針に転換したことは記憶に新しい。とはいえ、EVやPHEVといった電動化モデルへのシフトは今後も続いていくことは間違いなく、これまで開発されてきたコンセプトカーやプロトタイプは順次市販モデルとして市場投入されていくことだろう。
2021年にドイツで発表されたフル電動のGクラス「コンセプトEQG」も、当初の計画どおり2024年に発売される。
今回北京モーターショー2024で正式に発表された「G580」は、リチウムイオンバッテリーと駆動用モーターを搭載したEVで、コンセプトEQGの市販モデルにあたる。従来のエンジン搭載車と同様にラダーフレームのプラットフォームや副変速機の機能、そして独立懸架のフロントサスペンションと車軸懸架のリジッドアクスルリアサスペンションを組み合わせるなど、走行性能を高める技術は継承される。
悪路走破性能はガソリンエンジンを搭載したモデルと同等、もしくはそれ以上と表現されている。具体的な数値を見ていくと、最大100%(角度にすると45度)の登坂性、最大35度の横勾配で安定した走行、850mmの最大渡河深度はガソリン車よりも150mm深く、アプローチアングルは32度、ディパーチャーアングルは30.7度、ブレークオーバー角は20.3度としている。
ボディフロア下に配置される116kWhのリチウムイオンバッテリーは、水や汚れの侵入を防止するため強固なねじれ剛性をもつケースに内蔵されてラダーフレームに組み込まれ、またアンダーボディからの物理的な衝撃はカーボン複合材によるカバーで保護される。
走行可能距離は、車両重量3トンを超える巨体であることや、空力特性で不利な前面投影面積の広い直線的デザインであることなどいくつかの理由が考えられるが、大容量なバッテリーサイズから想像されるものより短い、473km(WLTPモード)となっている。