「自動運転タクシー」はラスベガスで実際に利用可能
「IONIQ 5(アイオニック ファイブ)ロボットタクシー」は、Motional社と共同開発した自動運転車両によるタクシーサービスであり、ネバダ州ラスベガスの一部エリアにてすでに提供されている。乗車したい場合は、まずUberアプリにアクセスし、「UberX」または「Uber Comfort Electric」を選択すると、「IONIQ 5ロボットタクシー」が配車される可能性がある、というシステムだそうだ。
ちなみに、Motional社による自律運転機能の継続的なテスト中は、常に運転席に運転者が常駐しており、必要に応じて走行中の車両の運転を引き継ぐことができるようになっているため、自動運転が不安な方でも安心して利用できるのも嬉しいポイントと言えるだろう。ラスベガスに旅行で行く機会がある時は、ぜひ利用してみてはいかがだろうか。
自動運転車は身障者に「移動の自由」をもたらすモビリティ
今回ヒョンデが公開した動画では、「IONIQ 5ロボットタクシー」が米国の運転免許試験と同様の試験に合格した様子が紹介されている。この動画は「IONIQ 5 ロボットタクシー」の自律走行技術の安全性と信頼性を伝えるために制作された。米国ラスベガスでの公道走行などを含む、公共レベルの運転免許試験に合格するまでの様子を紹介して、全ての人に安全で自由な移動を提供する可能性を示しているわけだ。
動画は視覚障害のあるアメリカ人女性Pearl Outlaw(パール・アウトロー)と、その母親のRuth(ルース)へのインタビューから始まる。パール氏は、網膜色素変性症という症状のせいで移動に制約を受けてしまい、多くの人にとって自立と自由の象徴と言える運転免許証の取得ができない状態で生活しているそうだ。
このパール氏の話は、身体障害者が抱える日常生活での移動における課題に焦点を当て、移動の自立を実現する自動運転技術の重要性を強調しており、今回の「IONIQ 5ロボットタクシー」に代表されるヒョンデの自動運転の取り組みは、彼女の求める「他人に頼らずに自由に探索できる、自立したモビリティ」という夢の実現に貢献するものと言えるだろうAIによる自動運転タクシーが運転免許試験に合格できる時代がやってきた。
AI自動運転車が運転免許試験に合格できる時代が来た
運転免許試験をチェックするのは、日本では運転免許試験場に相当する、米国Department of Motor Vehicles(車両管理局)認定運転試験官を25年間務める大ベテラン、Kandice Jones(キャンディス・ジョーンズ)氏だ。
彼女はこの25年間、公共の安全のために何千人もの受験者を落第させてきたというが、「IONIQ 5 ロボットタクシー」には果たしてどのような評価が下されるのだろうか。
ジョーンズ氏の監視のもと、クローズドコースで実施された模擬試験では、「IONIQ 5 ロボットタクシー」は、速度制御、車線変更と操作、一時停止標識での正確な停止、左折、そして危険発生に対する反応時間の各項目において優秀との評価を得た。
また、動画内では、ラスベガス市内の大通り「ラスベガス・ストリップ」やラスベガス郊外を難なく走行している様子も収められており、他のドライバーがいる公道環境でもきちんとAI自律運転が機能していることも証明している。
最終的な評価は、なんと満点。動画内では、ジョーンズ氏が無事試験に合格した証に「IONIQ 5 ロボットタクシー」にネバダ州の運転免許証を発行し、人間と遜色ない運転が可能なことを認めた。
自動運転タクシーが人間を代替する日が近づいている
ヒョンデによると、今回実施された模擬運転免許試験は、ネバダ州車両管理局の認可・認定を受けた公式なものではなく、動画内で発行された運転免許証もネバダ州車両管理局の認可を受けない、いわば演出上のレプリカ免許証であるそうで、正式なライセンス取得とは言えない点は少し残念である。
とはいえ、自動運転車が本物の試験官から合格をもらえるレベルに到達したということは、AIの認知・運転能力が人間の能力に追いつきつつあるということを表しており、完全自動運転の実現が着実に近づいていることを示唆する一種のターニングポイントを迎えたと言えるのではないだろうか。
自動運転技術は一般のユーザーだけでなく身障者も含めたすべての人がそのメリットを享受できるモビリティ社会を創り上げる手助けになることは間違いない。今後の「IONIQ 5 ロボットタクシー」の行方には要注目である。