ボルボ・カー・ジャパンが2023年11月22日に発売したコンパクトSUVタイプの新型EV「EX30」は、2020年まで販売されていたコンパクトハッチバックV40に近いボディサイズとして登場し、その代替え車両としても期待されているモデルである。そんなEX30は従来からのボルボらしさに加えて、新たな価値も持つという。

EX30の安定性と快適性とスポーティネスと

画像: EX30に採用されている新世代ボルボのテールランプは縦に二段のユニットで構成される。

EX30に採用されている新世代ボルボのテールランプは縦に二段のユニットで構成される。

EX30の全長は4235mmとボルボのSUVとしてはもっとも短いコンパクトさで、国産車でいえばトヨタ ヤリスクロス(4180mm)やレクサス LBX(4190mm)、ホンダ WR-V(4325mm)に近い数値だ。

全幅こそ1835mmと少し広めなので注意も必要だが、メーターディスプレイを運転席前面に設けないフードレスのデザイン、そしてハンドル上部と下部をおよそ水平にしたシェイプハンドルにより前方視界は良いし、フレームレス構造のドアミラーはコンパクトで死角を小さくする一助になっているようにも感じられる。

縦型の12.3インチセンターディスプレイには、ボディ前後左右にあるカメラからの映像を合成することでリアビューやサイドビューだけでなく、真上から、前方からなど多方面からクルマを見たときの状況を映像として確認することもできる。試乗中に道順を誤って歩行者の行き交う狭い路地に入り込んでしまったとき、スルスルと抜け出せたのもこうした機能性あってのことだろう。ちなみに、シフトポジションや速度計、バッテリー残量&走行可能距離などのインフォメーションもこのディスプレイの上段に表示される。

画像: 物理ボタンを配置しないシンプルデザイン。それでも小物入れやドリンクホルダーはしっかり用意されている。

物理ボタンを配置しないシンプルデザイン。それでも小物入れやドリンクホルダーはしっかり用意されている。

こうした運転のしやすさに加えてドライブの楽しさも持ち合わせているのがEX30だ。ガソリンエンジン車とEVの共有プラットフォーム「CMA」を採用したXC40やC40とは違い、EX30はボルボ初のEV専用プラットフォーム「SEA」を採用している。これはボディ中央の床下に駆動用バッテリーを搭載するEVのために開発されたもので、EVにより適したボディ剛性を実現している。

プラットフォームだけでなく駆動用バッテリーも進化していて、容量は69kWhでCMAのEVに搭載するものと同じだが、重量は約60kgも軽量化(450kg→390kg)しているのだ。コンパクトなボディサイズであることも要素のひとつだが、車両重量はXC40より200kg以上軽い1790kgとなっている。乗員保護を命題とするボルボ独自の、ボロンスチール(ウルトラ高張力鋼)でキャビンを囲うように配置するボディ構成を変えることなく、軽量化を果たしたのだ。

こうした進化もあって満充電での走行可能距離は560km(WLTCモード)を実現しているのと同時に、運転することの楽しさも味わわせてくれる。後輪軸に配置された200kW(272ps)/343Nmのモーターによる0→100km/h加速5.3秒という性能もさることながら、ガッチリとしたボディとしなやかな足回りのコンビネーションは直進でもコーナリングでも安心感と快適性、そして楽しさをも提供してくれる。

試乗前に想像していたよりスポーティさを感じる走り味だったこともあり、従来からのボルボらしさは?と聞かれると、ちょっと薄味だったようにも感じられた。実はこれには理由があり、試乗車のホイール&タイヤは標準装備の19インチ&245/45R19ではなく、オプション設定されている20インチ&245/40R20を装着していたことも要因のようだ。デザイン的要素も含めると、どちらにするか好みが分かれる選択となりそうだ。

クルマのライフサイクル全体で考える、ボルボのサスティナビリティ

スウェーデン本国では大きく分けて3つのグレードで展開されるが、日本にはまずハイエンドグレードに近い「EX30 ウルトラ」のシングルモーター/エクステンデッドレンジ(559万円)が導入される。そのため、前席頭上から後席頭上までを1枚のガラスとするパノラマガラスや運転席と助手席のパワーシート/シートヒーター、ハーマンカードン プレミアムサウンドなどの装備を標準とした上級仕様となる。

画像: ダッシュボード上に5つのスピーカーを並べたハーマンカードン プレミアムサウンド。フロントドアにスピーカーを配置しないことで配線やスピーカーを固定する部品数の削減にもつながっている。

ダッシュボード上に5つのスピーカーを並べたハーマンカードン プレミアムサウンド。フロントドアにスピーカーを配置しないことで配線やスピーカーを固定する部品数の削減にもつながっている。

もちろん先進運転支援システムは上位モデルと同様のシステムを搭載し、先行車との距離を保つように支援するパイロットアシスト(ACC)や、ハンドル・アクセル・ブレーキ操作をシステムが行い自動で駐車するパークパイロットアシストなどを備える。また、高速道路でウインカーを出した隣の車線に変更するようハンドルアシストを行うレーンチェンジアシストも加わり、運転者の疲労軽減する機能も強化されている。

もうひとつ、停車中に後方から近づいてくる自転車や電動キックボード、ランナーなどを検知してドア開け事故を警告する「ドアオープニングアラート」(前後ドア)を搭載するのは、ボルボでEX30が初めてとなる機能である。

「EVだからといって環境性能が高いわけではない」という言葉を聞くこともあるが、その点ボルボは資材調達から生産、リサイクル、工場やディーラーで使用する電力まであらゆる方面でサスティナブルな取り組みを行っている自動車メーカーである。その粋を集めたのがEX30であり、製造からライフサイクルをとおしたカーボンフットプリント(地球温暖化ガス排出量)を30トン(C40は42トン)にまで軽減させ、そして走行可能距離という実用性や安全性も高められた最新モデルでもある。

ボルボ EX30ウルトラ シングルモーター エクステンデッドレンジ 主要諸元

●全長×全幅×全高:4235×1835×1550mm
●ホイールベース:2650mm
●車両重量:1790kg
●モーター:永久磁石同期電動機
●最高出力:200kW(272ps)/6500-8000rpm
●最大トルク:343Nm/5345rpm
●バッテリー総電力量:69.0kWh
●WLTCモード航続距離:560km
●駆動方式:RWD
●タイヤサイズ:245/45R19(試乗車は245/40R20)
●車両価格(税込):559万円

This article is a sponsored article by
''.