ホンダはライバルとは異なる路線で行く
ホンダが30年以上にわたって研究・開発してきたFCEVは、これまでFCX(2002年)やFCXクラリティ(2008年)、そしてクラリティ フューエルセル(2016年)などいくつかのモデルとして登場、販売されてきた。ただ、このいずれもが水素を原料に電気を発生させる装置である燃料電池(FC)スタックや、水素タンクの搭載を前提に開発されたモデルで、言ってみればFCEV専用ボディを採用して出来上がったクルマだった。
ホンダにとってみれば、そもそも研究開発の一環なのでコストは度外視ではあっただろうが、1台あたりの製造コストは相当に高かった。次のステップとしてはFCEVを採算ベースに乗せなければならない。
そして、生産台数が増えれば増えるだけ基本的には製造単価も安くなっていくことを考えれば、すでに生産・販売されている量販モデルのパワートレーンを燃料電池ユニットに載せ替えることができたなら、一般販売の車両価格はより安価にすることができるはずだ。
自動車販売におけるホンダのパワートレーン戦略では、EVとFCEVの2本柱として設定し2040年までにこの両方で販売台数の100%をカバーする計画を立てている。ホンダeこそ販売終了したもののEVは商用の軽自動車N-VAN e:や2025年登場予定のN-ONEベースとしたEV、GMと共同開発されたプロローグなど続々と登場する予定だ。
一方のFCEVはと言えば、クラリティ フューエルセルが2021年9月に販売を終了して以来ラインナップからは消えていた。それから2年半が経過したいま、ホンダのFCEVは「専用車」という枠から解き放たれ、ライバルであるトヨタ MIRAI/クラウン FCEV(同じプラットフォームを採用する兄弟車)とは異なる路線で活路を見出すモデルとして発表された。