パリ市長の主張。「SUVは重く、かさ張り、汚染を撒き散らす」
パリ市によれば、過去30年でクルマの平均重量は975kgから1,233kgに250kg増えました。セダンタイプより大柄で200kgも重く、排出ガスも多いSUVタイプの車両は、対歩行者事故の死亡率も倍になり、これが市場で4割を超えていることを問題視して規制しようというものです。
フランスを代表するメディアのルモンド(Le Monde)紙も、「全世界に3億3000万台走っているSUVは、2022年だけで10億トンのCO2を排出しており、二酸化炭素削減に逆行している」というIEA(国際エネルギー機関)の報告を引用し、SUVのほとんどが都市部に住む富裕層によって所有されており、クルマはパリ市内の交通の11%に過ぎないが公共空間の50%を占有している、といった調査データをあげて投票前の記事で紹介しています。
投票にかけられた案では、車重1.6トン以上の内燃エンジン搭載車とプラグインハイブリッド車に加え、EVについても2トン以上の車両が3倍の駐車料金の対象になります。環状高速道路の内側のパリ市域のうち、中心部を含む1〜10区(ゾーン1)は、通常1時間あたり6ユーロの料金が18ユーロに、外側の11〜20区(ゾーン2)は1時間あたり4ユーロが12ユーロとなります。半日(6時間)駐車した場合は、それぞれ225ユーロと150ユーロで、市外からパリに買い物や食事などに訪れる人には大きな負担になります。
市の予測では、パリとその周辺地域を含めた「イル・ド・フランス」から平日に市内の駐車場を使用する7万台の車両のうち約10%が影響を受けるとしています。路上にある住宅用駐車場や、職人、タクシー、医療従事者、身体の不自由な人々に対しては例外的措置が取られるようです。