REはあくまで発電機として採用されるようだ
ロータリーエンジンは三角形のローターが回転しながら吸気・圧縮・爆発・排気を行うことで動力を生む内燃機関で、マツダが1967年に発売したコスモスポーツ以来、カペラやサバンナ、RX-7などに搭載し、長らく研究開発を続けてきた同社のお家芸である。そのRE搭載車が、RX-8の生産終了して以来11年ほどの空白期間を経て、2023年11月にMX-30 ロータリーEVとして復活した。
また、2023年10月に一般公開されたジャパンモビリティショー2023においてはコンセプトカー「アイコニック SP」を発表するなど、シリーズハイブリッド車の発電用エンジンとして存在感を示してきた。
そして2024年2月1日、マツダはREの研究開発を加速させるため、パワートレイン開発本部パワートレイン技術開発部に「RE開発グループ」を復活させたことを発表。MX-30 ロータリーEVやアイコニックSPで採用したように、発電機として排出ガス規制への対応やカーボンニュートラル燃料への適用など進化を促進するという。
カーボンニュートラル燃料とは水素や植物由来のHVOなどさまざまあるが、ここでは合成燃料のことを言っていると思われる。合成燃料は、欧州委員会が2021年に示した「ゼロエミッション車法案」いわゆるZEV法案を機に注目を集めたもので、水素とCO2を原料として精製される。燃焼時にCO2を排出するが、実質カーボンニュートラルを実現できるという。
2035年以降のEUでは、合成燃料(e-fuel)に対応したハイブリッド車を除いて、エンジン搭載車の販売はできないことになっている。マツダにとってEUは北米に次ぐ大きな市場で、まずはここに焦点をあてて研究開発されるのではないだろうか。
マツダの取締役専務執行役員兼CTO(最高技術責任者)の廣瀬一郎氏は、「マツダの歴史において、REは『飽くなき挑戦』を象徴する特別な存在です。これまでREを支えていただいたすべての皆さまに心から感謝申し上げます。このたび、世界中のお客さまに愛されてきたREを開発する組織を復活させました。今日までの約6年間、RE技術者は最先端の内燃機関の機能開発や究極の効率改善を掲げるエンジン開発の組織に属し、エンジン方式の垣根を越えてその視座を広げ、またマツダの強みのひとつである『モデルベース開発』の使い手として鍛錬してきました。このたび36人の技術者がひとつのグループに集結し、REの研究開発でさまざまな壁をブレークスルーするスタートを切ります。電動化時代そしてカーボンニュートラル社会においても、『飽くなき挑戦』でお客さまにワクワクしていただける魅力的なクルマをお届けすることをお約束します」と述べた。