EV化されたポルシェマカンが話題だが、その技術基盤の多くを共有するアウディ新6シリーズのデビューも迫ってきた。まずはクロスオーバーの「Q6 e-tron」、次いでセダン「A6 e-tron」とワゴン「A6アバント e-tron」が登場する。すでに多くの情報が公式にアナウンスされているが、今回は新世代マカンとの比較も交えながら、アウディ次世代EVを正式発表前に予習しておこう。

さらなる高性能バージョン“RS”の追加にも期待

駆動方式は全車が前後輪にそれぞれ駆動モーターを配したクワトロ(4輪駆動)。正式なスペックはまだ明らかにされていないが、「Q6 e-tron」が300kW(408ps)/650Nm前後、よりスポーティな高性能版の「SQ6 e-tron」は470kW(639ps)/1130Nmあたり。

どちらも新型マカン(「マカン4」、「マカンターボ」)に準じる可能性が濃厚だ。また、将来の追加が噂される「RSQ6 e-tron」は、システム最高出力が600kW/816ps前後まで高められるという情報もある。

VRを駆使したADAS領域の進化も注目される

コクピットはアウディが「デジタルステージ」と呼ぶ3つのディスプレイを中心にデザインされている。MMIパノラマディスプレイは11.9インチのアウディバーチャルコクピットと14.5インチのMMIタッチディスプレイで構成され、これにオプションとして助手席側に独立型の10.9インチMMIディスプレイ(オプションの可能性あり)が組み合わされている。パッセンジャーはドライバーに気兼ねなく映画などさまざまなコンテンツを楽しむことができる。

画像: 3つのディスプレイを前提にデザインされたインテリア。ウエストラインにはアンビエント照明が組み込まれており、充電状況を始め車両の状態がひと目でわかる。

3つのディスプレイを前提にデザインされたインテリア。ウエストラインにはアンビエント照明が組み込まれており、充電状況を始め車両の状態がひと目でわかる。

さらにヘッドランプやリアテールライトには、新たに第二世代デジタルOLED(有機LED)テクノロジーを採用。「アクティブデジタルライトシグネチャー」と呼ばれるこの世界初の技術は、デジタルOLEDリアライトの変化によって追突警報、エマージェンシーコール、エマージェンシーブレーキほか、さまざまな車両機能と連動して表情が変化して外部とのコミュニケーションを行う。さまざまな表情を作り出すフロントのマトリックスLEDヘッドライトと相まって、新世代ライティングシステムの誕生だ。

また、オプションとして設定されるAR(拡張現実)ヘッドアップディスプレイ(HUD)にも注目しておきたい。フロントウインドーには、さまざまな情報がドライバーの目前に浮かんでいるように投影され、ドライバーは視線を移動させることなく直感的に情報を収集できる。画像はドライバーの視点から約2.2mの対角線上に表示される。

画像: VRを駆使したADAS領域の進化も注目される
画像: ドライバーの前方にはフロントウインドースクリーンを横切るようにイメージ映像が投影され、速度や道路標識、各種アシスタンスシステムの作動状況、ナビゲーションシステムの情報などが現実の視界に重ね合わされる。

ドライバーの前方にはフロントウインドースクリーンを横切るようにイメージ映像が投影され、速度や道路標識、各種アシスタンスシステムの作動状況、ナビゲーションシステムの情報などが現実の視界に重ね合わされる。

ソフト、ハードともに基本的なアーキテクチャーをポルシェマカンと共有するだけに、数値化されるスペックには共通点が多い。しかし、ブランドとしての方向性の違いは明確だ。ポルシェはあくまでスポーツカーブランド、アウディはプレミアムかつ最先端であることにこだわる。EVでの差別化は難しい、と言われることもあるが、今回、時をほぼ同じくして登場する2車には、やはり明快な違いがある。

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