EVシフトの先にあるのがSDV(Software Difined Vehicle)。ソフトウェアによって性能や機能を制御する、いわば電子機器化したクルマだ。その最先端を走るのが、ソニー・ホンダモビリティ株式会社(SHM)が手掛ける「アフィーラ」。予約開始まであと1年余り、現在の進捗状況が最新のプロトタイプとともにCES2024で報告された。(タイトル写真はプレスカンファレンスでスピーチする川西泉SHM社長とプロトタイプ2024)

今までのクルマの概念では括れない。本格SDVとしてさらに進化する気配

もっともアフィーラは、従来のクルマ的視点=スペックやデザインだけで語ることはできない。なによりも重要なのは、初の本格SDVであること、そしてソフトウェア領域。それが可能にする新たなユーザー体験だ。

画像: ユーザーがまだ知らないモビリティを体験させてくれるのがアフィーラの真骨頂だ。

ユーザーがまだ知らないモビリティを体験させてくれるのがアフィーラの真骨頂だ。

アフィーラが最優先しているのは安全性能だ。先端AI技術を駆使したADAS(先進運転支援システム)の実現を目指している。今回の発表では、ADASの一例として「Vision Transformer」による物体認識が挙げられた。センシングデバイスから得られる膨大なデータを超高速処理する必要があるが、それを担当するのが米クァルコム社の「SnapDragon Ride」と名付けられた車載用高性能SoC(System on Chip)だ。

また、前回のCES2023で発表された「Epic Games」との協業についても進捗状況が説明され、リアルとバーチャルを融合したシミュレーターも展示された。車両、歩行者、地形、天候などさまざまな外的環境条件をシミュレートし、AR技術との組み合わせにより、ユーザーは没入感がありながら安全性も向上するという。

画像: 「ARナビゲーション」のデモ画面。肉眼で確認しづらい人・車・障害物を検知してディスプレイに表示することが可能になる。

「ARナビゲーション」のデモ画面。肉眼で確認しづらい人・車・障害物を検知してディスプレイに表示することが可能になる。

さらに、インターネット上の情報を重ねた3Dナビゲーションマップも提案。実現すれば、マップデータを利用した新しいエンタテインメント空間やゲーミング感覚を経験することができるようになる。これら車内エンタテインメントの拡張には、Epic GamesのゲーミングエンジンUnreal Engineの最新バージョン「Unreal Engine 5.3」が重要な役割を果たす。OTAによる随時アップデートも予定されている。

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