ドイツはEV購入補助金を今月半ばで突然打ち切り
EV販売の伸び悩みの中で追い討ちをかけたのが、コロナ対策予算を気候変動やグリーン化政策に転用することへのドイツの憲法裁判所の違憲判決で、これによってEV購入補助金は12月18日までの申請を持って終了との発表が突然ありました。自動車メーカー各社は混乱を避けるために、これまで政府支援に追加して補助していた分に加えて、政府支援分の補助金も期限付きで負担するなどの対応に追われています。2024年度にも一定の購入補助金予算はあるものの、予算の縮小により最大20万台のEV販売減の影響が出ると予想する調査機関もあり、EVへの転換を進めるメーカーにとっては頭の痛い話です。
また、フランス政府も独自にCO2フットプリントの多いモデルについては補助金を出さない政策を決定し12月から実施しています。これにより、中国製のテスラモデル3やMG4、ダチア スプリング、BMW iX3などのEVは補助金の対象外になりました。これなどは、EUの「中国政府のEV補助金の調査」と歩調を合わせた形の政策ですが、EV販売の上位モデルの補助金がなくなることによる影響は避けられないでしょう。
「原産地規定(rules of origin)」や「ユーロ7」排ガス規制では政治が譲歩
一方、EUとUKの間で懸案になっていた欧州域内の原産地比率が45%以下の自動車は関税免除の対象外となり10%の関税がかかるという法案の施行は、2024年1月からの予定が2027年1月まで3年間延期されました。英国自動車製造販売協会(SMMT)やACEAが盛んにロビー活動を展開し、スナク英国首相も直にEU首脳らに働きかけていた案件は、自動車業界には一息つける猶予措置が取られました。
また、2025年半ばから施行が提案されていた「Euro7」排ガス規制についても、乗用車一台につき2000ユーロ以上ものコストアップとして反対したACEAのロビー活動が実って、乗用車については、NOxなどの排出ガス規制値を現行のEuro6より厳しくする案は葬られ、タイヤダストやブレーキの粉塵を新たに規制対象に加える部分的な強化に留めることで換骨奪胎され決着しました。