マツダが2023年11月に発売した新たな電動車「MX-30 ロータリーEV」は、11年ぶりのロータリーエンジン搭載車で、シリーズハイブリッド車で、PHEVで、と多くのトピックスを持つモデルだ。そして、マツダの電動化戦略で大きな役割を担っていることが見えてくる。

MX-30 ロータリーEVが、合成燃料や水素を燃料に走る未来はありえるか

少し話は戻って、次世代燃料の問題における可能性について思いを巡らせてみた。

マツダは後輪駆動プラットフォームを開発して、CX-90やCX-60といった大型モデルをいくつかの地域でラインナップ、今後登場するであろうMAZDA 6もFRベースのプレミアムカー化すると言われており、ブランドとしての上級シフトが進んでいる。

そうした中で登場したロータリーEVのパワートレーンは、今後のラインナップの中で大きな役割を担っているのではないか。上述したとおり排気音こそ改善の余地もありそうだが、やはりエンジン音の小ささや振動の少なさはプレミアムカーにとっては重要な要素だ。

特に今回登場したパワートレーンは、8C型エンジンと発電機と駆動用モーターを1本の軸上に並べたコンパクト設計で、多くの車種に搭載できる。クルマのサイズ・車両重量に合わせて充電能力を高めるため、ジャパンモビリティショー2023に登場したアイコニックSPのように2ローターエンジンとすることだってできる。

画像: MX-30 ロータリーEVのパワートレーン、右からエンジン、発電機、駆動用モーターと並ぶ。

MX-30 ロータリーEVのパワートレーン、右からエンジン、発電機、駆動用モーターと並ぶ。

さらに燃料を、ガソリンではなく合成燃料(もしくはEU基準のe-fuel)に対応できれば実質カーボンニュートラルなパワートレーンとして長期にわたって活躍できるだろう。ロータリーエンジンは水素との相性が良いと言われ、マツダは今も実用化に向けて開発を続けていると聞く。ファンとしては駆動力源としてのロータリーエンジンを熱望したいところだが、水素ロータリーエンジンのシリーズハイブリッド車だって夢があるではないか。

ガソリンエンジン車からフルバッテリーのEV、ロータリーEVといったマルチ展開を行い、マツダのパワートレーン見本市のようなラインナップを見せているMX-30に、水素ロータリーハイブリッドが加わる未来もあるかもしれない。と、いくつもの可能性を考えさせてくれる。

スタイリングから使い勝手、パワートレーンに至るまでとにかく個性際立つMX-30 ロータリーEVは万人受けするクルマではないかも知れないが、マツダの電動化戦略において大きな役割を担っていることは間違いない。

マツダ MX-30 ロータリーEV ラインナップ

ベースグレード(FWD):423万5000円
インダストリアル クラシック(FWD):478万5000円
モダン コンフィデンス(FWD):478万5000円
ナチュラル モノトーン(FWD):478万5000円
エディション R(FWD):491万7000円(特別仕様車)

マツダ MX-30 ロータリーEV 主要諸元(全グレード共通)

●全長×全幅×全高:4395×1795×1595mm
●ホイールベース:2655mm
●車両重量:1780kg
●パワートレーン:MV型1モーター+8C-PH型1ローターエンジン
●モーター最高出力:125kW(170ps)/9000rpm
●モーター最大トルク:260Nm/0-4481rpm
●バッテリー総電力量:17.8kWh
●エンジン総排気量:830cc
●エンジン最高出力:53kW(72ps)/4500rpm
●エンジン最大トルク:112Nm/4500rpm
●駆動方式:FWD
●燃料・タンク容量:レギュラー・50L
●WLTCモード燃費:15.4km/L
●タイヤサイズ:215/55R18

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