「卵が先か。鶏が先か」ではないが、EVと充電器はどちらを先に用意したらよいのだろうか。現実的にはまず欲しいEVを決めて、それからディーラーに相談するか、自分で業者を探すかを判断するのがよいだろう。さらに家庭用充電器の場合は3kWでよいのか、6kWにするのかがポイントになってくる。

「3kWか、6kWか」、それが重要なポイントだ

EVを自宅で充電する設備を設置するのには、電気工事が必要になる。資格を持った業者による施行が必要なので、ディーラーなどと相談して、業者を紹介してもらうといいだろう。

実際に充電設備の敷設で行われるのは、「電気契約の見直し」、「専用ブレーカーの設置」、「専用配線」、「壁面貫通作業」、「コンセント/充電設備の設置」というものだ。

「電気契約の見直し」は、EVを充電することで電流がこれまでよりも多く流れるため、それにあわせた契約に変更する必要があるためだ。「専用ブレーカー」とは、家庭にすでにある漏電ブレーカーに追加する形で、EV充電用のブレーカーを設置するのだ。

「専用配線」とは、家庭用のブレーカーから専用ブレーカーを経由して充電口までの配線を設置すること。そして「壁面貫通作業」は、屋内にある家庭用ブレーカーから屋外にある充電口に向けて、専用配線を通すためのものとなる。

画像: EV充電用コンセントは出力が3kW。同じ200Vでもケーブル付普通充電器だと6kWが得られる。

EV充電用コンセントは出力が3kW。同じ200Vでもケーブル付普通充電器だと6kWが得られる。

最後の「コンセント/充電設備の設置」は、EV充電用コンセント(出力3kW)、もしくは充電ケーブル付の普通充電器(出力6kW)のどちらかを設置することだ。

コンセントの場合は、EV側の車載充電ケーブルを使う。一方、充電ケーブル付普通充電器は、車載ケーブルは利用しない。また、充電にかかる時間は、出力の大きな充電ケーブル付の普通充電器の方が短くて済むことになる。

設置にかかる料金は、約10万円のコンセント(3kW)に対して、ケーブル付普通充電器(6kW)は30万円以上となるので、それを含めてどちらにするかを判断することになる。

ただ、この3kWと6kWの違いは大きく、たとえば60kWのバッテリーを搭載しているEVの場合、計算上は3kWだと満充電するのに20時間かかるが、6kWなら10時間で済むことになる。

EVを日常的にどのように使うかにもよるが、イニシャルコストはかかるが6kWにした方が将来的にも安心できるだろう。

●著者プロフィール
鈴木 ケンイチ(すずき けんいち)1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。

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