結果は驚くほどの大差がついた
ガソリン車とEVの燃料費を具体的に比較してみよう。まず、EVとしてはミッドサイズのSUVである日産「アリア」。エンジン車としてはハイブリッドの日産「エクストレイル」(1.5L VCターボ)、純エンジン車の「RAV4」(2Lガソリン)、そしてディーゼルの「CX-5」(2.2L ディーゼル)をすべてFFモデルで比較してみたい。
まず、それぞれの燃費・電費性能は以下のようになる。
「アリア」の電費性能は166Wh/km(WLTCモード)。
「エクストレイル」の燃費性能は19.7km/L(WLTCモード)。
「RAV4」の燃費性能は15.2km/L(WLTCモード)。
「CX-5」の燃費性能は17.4km/L(WLTCモード)。
比較しやすいように、それぞれ1kmを走るのに、どれだけの費用がかかるのかを計算してみよう。
「アリア」の場合は、1km走るのに166Whの電力が必要という性能だ。電気料金は、どこの電気会社と、どのようなプランで契約するのかで、価格が大きく左右される。
例として東京電力の関東エリアのスタンダードプランの場合、1kWhあたり36円60銭という電気料金となる。これで計算すると、166Whは0.166kWhとなるので、料金は約6円となる。つまり、1kmを走る費用は約6円となる。
「エクストレイル」と「RAV4」は、ガソリンを使って走る。ガソリン価格を175円と想定して計算してみたい。
「エクストレイル」の燃費性能は19.7km/L。ガソリン1Lで19.7kmを走る。1kmを走るのに必要な燃料を導き出す計算式は「1÷19.7」で、その答えは約0.051L。1kmを走るのに必要なガソリン価格は約8.9円となる。
「RAV4」の15.2km/Lの性能で同様の計算を行うと、1km走行に必要な燃料は、0.066L。その価格は約11.6円となる。
「CX-5」のディーゼルの場合、燃料は軽油となる。1Lあたりの価格を155円で計算してみたい。その場合、燃費性能が17.4L/Lなので、1km走るのに必要な燃料は0.057L。その価格は約8.8円だ。
結果を並べると、1km走る費用は、EVの「アリア」が約6円、ハイブリッドの「エクストレイル」が約8.9円、ガソリン車の「RAV4」が約11.6円、そしてディーゼルの「CX-5」が約8.8円となった。
EVと比べると、ハイブリッドとディーゼルは約1.5倍高く、そしてガソリンエンジン車だと2倍近く高くなる。結論として、燃料費はEVが最も安くあがるということになる。
●著者プロフィール
鈴木 ケンイチ(すずき けんいち)1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。