EVは給油のためにガソリンスタンドへ行く必要はないが、充電をしなければならない。それはどこでどうやってするのか。そもそも普通充電と急速充電というふたつの方法があるとのことだが、これはどのように違うのか。素朴な疑問に答えます。(タイトル写真は左が普通充電器、右が急速充電器)

家庭用電源で行える普通充電

EVの充電には、「普通充電」と「急速充電」の2つの方法がある。その違いは、読んで字のごとく、「普通のスピードでの充電」と「急速に行う充電」となる。

普通充電とは、EVにとって、もっとも基本となる充電方法だ。自宅の駐車場などで、クルマを使わない間に、ゆっくりと時間をかけて行う充電を指す。使われるのは、家庭用の100Vもしくは200Vの交流(AC)電流となる。この交流(AC)電流を、クルマの中のインバーターで直流(DC)に変換して、直流のバッテリーに充電する。

画像: 上が普通充電器、下が急速充電器のマーク。

上が普通充電器、下が急速充電器のマーク。

具体的に言えば、200V/15Aで充電すると、その電力は3000W(200V×15A)=3kWとなる。この電力で1時間充電すると、3kWhの電力量となる。40kWhのバッテリーを満充電するには、13時間20分がかかる計算になる。また、最近は6kWの普通充電器もあり、これだと3kW充電より同じ時間で倍、あるいは同じ電力量を半分の時間で充電できる。

普通充電は急速充電よりも電圧が低く、電流もゆっくりと流すため、満充電にまでかかる時間は長くなるけれど、その分、熱が発生しづらく、電池や機器に優しい充電と言えるだろう。

早いがコストもかかる急速充電

一方、急速充電は、急いで行う充電だ。自宅駐車場ではなく、外出先などでバッテリーの電力が減ったときに、急速で行える充電となる。短い時間で充電するため、高い電圧、大きな電流が使われる。

具体的に言えば、日本で最も普及している急速充電器のチャデモ急速充電器の多くは、150〜450V/120Aもの直流(DC)電流を使って最大50kWの電力で充電を行う。計算上、50kWで1時間の充電を行えば50kWhの電力を充電できるのだ。3kWの普通充電の約17倍ものパワーで充電が行える。

画像: 高速道路のSAに設置されている、eモビリティパワーの急速充電器。

高速道路のSAに設置されている、eモビリティパワーの急速充電器。

ただし、急速充電器は、設置費用が高額になるだけでなく、電気契約料も高くなる。費用が高いだけでなく、EVの電池も熱を持ちやすい。電池にも財布にも優しくない充電方法と言えるだろう。

乗用車の場合、自宅での普通充電を基本として、遠出をするときだけ急速充電を行うというのが基本的な考え方になるだろう。もちろん例外もあり、自宅に充電器がなくても、勤め先に普通充電器があればそれを使うのもありだし、近所のディーラーなどで急速充電器を何日かに1回、利用するというのもいいだろう。

●著者プロフィール
鈴木 ケンイチ(すずき けんいち)1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。

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