2023年9月14日、マツダはMX-30にロータリーエンジンを発電機として活用する「Rotary-EV」を追加し予約受注を開始した。シリーズ式プラグインハイブリッドモデルで、ロータリーエンジンで直接駆動する走行はできないが、その特長をうまく利用したシステムと言える。2023年11月に発売が予定されている。

新開発のロータリーエンジン

また、マツダの魂である「ロータリーエンジン」技術を後世に残していくという意味でも、重要なモデルとなっており、11年ぶりの復活の背景には様々な苦労があり、特に直噴化には苦戦したそうだ。

今回のエンジンはゼロからの開発で、ロータリー史上初となる直噴化を実現しているのだが、レシプロエンジンで培った直噴技術をロータリーエンジンで展開しようとした際に、両エンジンの燃焼メカニズムの違いによりすんなりと直噴化することができず、10種類以上の試作エンジンを製作してようやく完成したという。

画像: ゼロから開発された830cc×1ローターの「8C」エンジン

ゼロから開発された830cc×1ローターの「8C」エンジン

ちなみに、今回の8C型エンジンはRX-8に搭載されていた13B型よりも25%燃費が改善しており、WLTCモードハイブリッド燃料消費率は15.4km/Lとなっている。いざという時にガソリンを消費して走る場合の燃費であり、もちろんバッテリーから電気を得てEV走行しているときはガソリンは消費しない。

充電・給電性能

充電性能は、普通充電と急速充電の両方に対応しているので、少ないバッテリー容量と合わせ、外出先でも気軽に充電することが可能になっている。ちなみに40kWの急速充電時には20%から80%まで25分で到達する。

また、給電性能も充実しており、荷室には1500Wまで対応可能なAC電源、フロントコンソールには走行中でも使用可能な150WのAC電源を装備しているので、キャンプやレジャー、災害時などで家電製品を用いる場合でも、幅広く対応することができる。

画像: フロントコンソールには150WのAC電源を装備

フロントコンソールには150WのAC電源を装備

さらに、クルマから家に電気を給電する「V2H」にも対応し、17.8kWhのバッテリー満タンとロータリーエンジンでの発電を組み合わせれば、一般的な家庭での1日の使用電力量を10kWhとした場合で約9.1日分の電力を賄うことが可能だという。

ブラック内装の追加と復活の「R」を記念した特別仕様車「Edition R」

インテリアは、従来のホワイト内装「Modern Confidence」とブラウン内装「Industrial Classic」の2色に加え、新たにブラック内装「Natural Monotone」が追加された。

また、マツダが世界で初めて量産化に成功したロータリーエンジンの11年ぶりの復活、すなわち「Return」の意味を込めた特別仕様車である「Edition R」も用意され、ブラック基調の内外装に加えてルーフサイドがマツダ初の乗用車「R360 クーペ」のルーフカラーをモチーフとしたマローンルージュメタリックで装飾される。

画像: ロータリーエンジンとマツダの原点「R360 クーペ」のルーフカラーが復活した特別仕様車「Edition R」

ロータリーエンジンとマツダの原点「R360 クーペ」のルーフカラーが復活した特別仕様車「Edition R」

そのほかにも、つや消しのキーフォブ、オレンジ色をした「Edition R」タグ付きのフロアマット、ロゴのエンボス加工が施されたヘッドレストなどの専用装備が追加されている。

ロータリーエンジンによるレンジエクステンダーEVがマーケットでどのように受け入れられるか。今後の動向が注目される。

マツダ MX-30 Rotary-EV 主要諸元

画像: マツダ MX-30 Rotary-EV 主要諸元

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