コロナが明けて最初の夏休み。久々の長距離ドライブに疲労困憊、どこまでも続く高速道路の渋滞にうんざりした方も多いだろう。そんな時に思うのが「クルマが全部やってくれればいいのに……」、つまり自動運転だ。果たして、クルマの自動化はどこまで進んでいるのだろうか。その現状を解説する。(タイトル写真は自動運転車のイメージ)
日本で普及しているのはあくまでも運転支援
現在、国内の道路を走っているのは、ほとんどがレベル1もしくはレベル2。自動運転ではなく“運転支援”(=高度運転支援システム:ADAS)であり、あくまでも運転操作の主体(=責任)はドライバーだ。
昨今、問題になっているのは、この運転支援と自動運転を混同しているケース。運転支援機能を過信あるいは誤用したと思われる事故が発生している。事態を重く見た警視庁も注意喚起の文書を発行している。
レベル3はいわば“半自動運転”。特定の条件下でシステムが運転するが、作動条件を逸脱した場合には、即座にドライバーが運転に復帰することが求められる。ホンダが2021年に世界で初めてレジェンドに搭載。ただし限定100台でリース販売にとどめられた。
翌年にはメルセデスベンツが新型Sクラス、およびメルセデスEQSにオプション設定することを発表し、限定車ではなく希望すればだれでも搭載できるレベル3として話題となった(2023年8月時点でドイツ本国と米国の一部の州で認可取得済み)。
しかし、現時点でそれに追随する自動車メーカーは現れていない。その導入に関しては、国・地域によって法整備の進度に差があり、認可の基準がまとまっていない。また、システムの搭載による車両価格アップも避けられない。そのメリットが限定的であることを考えれば、普及にいたるまでにはまだしばらく時間がかかるかもしれない。