ハードウェアとソフトウェアの重層構造に
とは言え、それだけではメーカーやブランド・車種ごとの差別化は容易ではない。自動運転時代の本格到来をも見すえて、車両を統合制御するいわゆる車載OSとソフトウェア、さらにその上にさまざまなアプリケーションが重なった重層構造を採用するいわゆる「E/Eアーキテクチャー(Electrical/Electronic Architecture」の実装にこそEV専用プラットフォームの真価がある。
アンダーボディ部は文字どおり土台であり、ハードウェアの一部だ。一方で車載OSとアプリケーションによって、乗り味や運動性能は理論的にはいかようにでもカスタマイズできる。ここに長年に渡って車両開発のノウハウを蓄積してきた自動車メーカーの強みやブランドの個性が発揮できる。
潮目が変わり始めるのは2〜3年後
現在、EV専用プラットフォームの開発で先行しているのは米テスラと中国勢だ。とくに中国勢はEV開発に特化する目標を掲げ、早期からEVプラットフォームとしてハードウェアとともにソフトウェアの開発に邁進してきた。結果、圧倒的な低価格の実現とともにADAS(先進運転支援システム)機能においても世界の最先端をいくレベルに達している。
EVの潮目が大きく変わるのは2025年あるいは2026年というのが、自動車業界の定説になっている。中国勢の先行を許した欧州勢や米国勢も、このタイミングで次世代EV専用プラットフォームを採用した新型EVを大量投入してくるからだ。
日本ではトヨタは次世代EVプラットフォームを搭載した新型EVを2026年に発売する計画だが、その前年には車載OSである「Arene」を完成させることを宣言している。ホンダも2026年には次世代EV用プラットフォーム「Honda e:アーキテクチャー」を採用する新型EVを投入予定である。