昨年12月の発表以来、瞬く間に世界中に広がった生成AI(Generative Artificial Intelligence)のチャットGPTですが、今度は、メルセデス・ベンツが車載インターフェースのMBUXにこれを組み込み、6月16日から米国で3カ月間、90万人のMBUX搭載車ユーザーに試験提供すると発表しました。多くの人工知能の専門家が革命的な進化と呼ぶ一方で、著作権や個人情報保護の観点などから、科学者や行政府からも何らかの規制が必要という声も上がっています。果たしてチャットGPTでクルマはどう変わるのでしょうか。

メルセデス・ベンツがここでも先陣を切る

2018年に自動車メーカーとして、初めて音声対話システムを搭載したインフォテイメントシステム「MBUX」を発表したメルセデス・ベンツですが、今回のサービスでは、「ヘイ、メルセデス。チャットGPTベータプログラムに参加したい」と話しかけるだけで、チャットGPTがOTA(オーバー・ジ・エア)により使用可能になるようです。

画像: メルセデス・ベンツのMBUXにチャットGPTが組み込まれ試験運用される。

メルセデス・ベンツのMBUXにチャットGPTが組み込まれ試験運用される。

音声によるエアコンの調節や目的地の提案などこれまでも可能だった機能に加えて、より複雑な会話が可能になる様で、たとえば、目的地のPOI(観光案内)なども音声で返してくれるようになりそうです。

システムは、マイクロソフト(MS)社のクラウド「アジュール(Azure)オープンAI」上で構築し、情報は完全に匿名化される上に、クラウドへのデータの転送も「Mercedes me」の契約を承認しないと行われないなど、個人情報の管理は徹底されます。

デジタル生産管理システムでもマイクロソフトと提携

メルセデス・ベンツは2020年に、全世界の30以上の乗用車工場を繋いだデジタル生産管理システムである「MO360」をMSアジュール上に構築し、まず「Sクラス」の生産工場であるドイツ ジンデルフィンゲン市の「Factory 56」に導入しています。一台ごとの車両生産情報をリアルタイムでフロアの作業員と共有し、問題があればチーム内で素早い解決を行うことで品質を安定させ、同時に工場内の人的資源配分を最適化することで生産効率を15%改善しています。

さらに、MO360はサプライチェーンのボトルネックの解決や、CO2排出量や水やエネルギーの使用量のモニタリング、廃棄物の管理なども行え、2039年までに完全カーボンニュートラルな生産を目指す同社にとってコアとなる製造エコシステムです。

画像: MO360システムでは車両一台ごとの位置が正確に把握され、部品が規定の締め付けトルクで組み付けられたかも即座にディスプレイで表示される。詳しい動画はこちら。

MO360システムでは車両一台ごとの位置が正確に把握され、部品が規定の締め付けトルクで組み付けられたかも即座にディスプレイで表示される。詳しい動画はこちら

このようにメルセデス・ベンツは、チャットGPTを開発したOpenAIを傘下に収めたMS社とは戦略的な協力関係にありますが、GMも同社のCar to Cloudシステムである「Ultifi(アルティファイ)」をアジュール上に構築しており、OTAによるソフトウェアアップグレードやデータ管理、車両機能のパーソナライゼーションを可能にしています。

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