文:スマートモビリティJP編集部
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水素燃料航空機でカーボンニュートラルを実現
航空分野の脱炭素化は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた大きな課題である。そこで期待されているのが、水素を燃料とする水素航空機だ。川崎重工は、長年培ってきた航空エンジン技術と、液化水素サプライチェーンなどの水素事業で磨いた技術を融合し、この次世代航空機のコア技術開発に挑んでいる。

川崎重工が実現を目指す次世代水素航空機のイメージ。
同社が提案した「水素航空機向けコア技術開発」は、2021年11月5日にNEDOのグリーンイノベーション基金事業「次世代航空機の開発プロジェクト」に採択。研究項目は、水素航空機向けエンジン燃焼器・システム技術開発、液化水素燃料貯蔵タンク開発、水素航空機機体構造検討の3つで、10年間でコア技術を開発・統合し、2030年に地上での実証試験を行う計画だ。
2024年10月に、従来燃料用の自社製小型航空エンジンに新開発の水素用燃焼器などを搭載し、水素のみを燃料とする運転試験を実施。試験はJAXA能代ロケット実験場(秋田県)で行われ、着火から回転上昇、定常運転、回転降下、停止までの一連の動作で安定運転が可能であることを確認した。

水素100%燃料による試験運転の様子。
続いて2025年11月には、水素航空機向け燃料タンクの液化水素充填試験にも成功。直径約1.3mの軽量タンク試作モデルを使い、魔法瓶のような真空二重殻構造による高い断熱性能と、極低温下での気密性維持を確認した。
そして今回は、日本初となる世界最高レベルの低NOx性能を実現する新型水素燃焼器を搭載した小型航空エンジンの運転試験に成功。新型燃焼器では、発電用ガスタービン向けに製品化されたマイクロミックス燃焼技術を応用し、水素を多数の微小火炎に分散して燃焼させることで局所的な高温領域の発生を抑え、NOx排出量を大幅に低減できるようだ。
試験では、エンジン始動から巡航相当の定常運転、加減速運転、停止までの一連の運転を実施し、航空エンジンに必要な安定燃焼と推力発生に加えて低NOx性能の両立を確認した。この結果から、ICAO(国際民間航空機関)が継続的に強化している排出ガス規制に対応しつつ、世界最高レベルの低NOx性能を実現できる見通しを得ているという。
本事業では、2021年から2030年までがコア技術開発期間とされている。今後は機体、エンジン、燃料タンクなどの各技術を統合し、水素航空機システムとしての成立性と性能を検証する地上実証試験が計画されている。エンジンと燃料タンクで成果が積み上がり、残る機体構造検討も順調に進捗しているという。川崎重工は「液化水素サプライチェーンの商用化実証」などの水素事業とあわせて、2050年のカーボンニュートラル社会の実現に貢献する方針だ。
川崎重工の水素航空エンジン開発は、2021年の採択から、エンジン運転試験、液化水素タンクの充填試験、そして今回の低NOx運転試験という流れで順調に進んできており、2030年の地上実証に向け、水素航空機の実現は着実に近づいている。今後の発表にも注目したい。
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