ほとんどの自動車メーカーが直面している課題を逆転の発想で解決
「フューチャー ハイブリッド コンセプト」は、エンジンやモーター、トランスアクスルからパワーコントローラーまでひとつのユニットに統合したレンジエクステンダー型のハイブリッドパワートレーンだ。
開発したのはルノーと吉利(ジーリー)の合弁会社「Horse Powertrain」社である。エンジン、トランスミッション、バッテリーなど次世代技術の開発を目的として、2024年5月に設立されたばかりのエンジニアリング会社だ。エンジンを含めてハイブリッドシステムの開発に注力している。

ホース・パワートレーン社は知る人ぞ知る存在だが、世界中の自動車メーカーにエンジンやハイブリッド関連製品を供給している。
同社CEOのマティアス・ジャンニー二(Matias Giannini)氏は、「フューチャー ハイブリッド コンセプト」の開発に至る背景・意図を以下のように語っている。
「現在、ほとんどの自動車メーカーが直面している課題は、変化する顧客の需要に対応するために複数のプラットフォームや生産ラインを用意する必要に迫られていることです。すでに10年以上も前から、バッテリー式電気自動車がカーボンニュートラルへの唯一の手段であると考えられ、自動車メーカーはそれに対応した計画を立ててきました。しかし、現在、私たちはEVだけに依存しないテクノロジーニュートラルな世界へと移行しています。さまざまな国と地域が、それぞれ独自の持続可能なモビリティを追求しています」
「我々はその効果的なソリューションとして、EVプラットフォームに収まり、ハイブリッドのレンジエクステンダーとして活用できる技術を提供します。EV用として開発されたプラットフォームに設計変更を加えることなく、シームレスに統合するハイブリッドパワートレーンシステムです。自動車メーカーは、生産プロセスを中断することなく、開発・生産のリソース消費を最小限に抑えながら、多様なパワートレーンを世界中に提供できるようになります」
多くの自動車メーカーが、EVの開発に原資を集中投下してきたものの、最近では内燃機関搭載車(HEV、PHEV、EREV)の生産にも注力せざるを得なくなっている。そのために必要なさまざまなコスト増が、大きな負担となっているのだ。そんな課題を解決するのが、「フューチャー ハイブリッド コンセプト」の狙いである。