3Dプリント技術を採用した、6人乗りの自動運転ミニバス
2023年4月に自動運転レベル4の規制が緩和されて以降、全国各地で自動運転バスの運行や物流分野における実証実験が加速している。公道以外でも、観光施設や空港などの施設内を移動する手段としても、遠隔監視によるさまざまな自動運転モビリティの導入が始まっている。
今回紹介する「Robo-Bus」は、2017年に設立された中国のEVスタートアップ「PIX Moving(ピクシームービング)」が開発した無人運転のミニバスだ。同社は3Dプリント技術を採用したドローンの開発から事業を開始しており、その後、産業用ロボットの分野にも進出。2022年に生産を開始したRobo-Busは、ドローンの開発で培った自動運転技術や世界に類のない金属3Dプリンティング技術など技術的なアドバンテージを活用した旅客用四輪車でもある。
ユニークなのはそのシャシ構造。いわゆるスケートボード型であるが、溶接や鋳造ではなく、金属3Dプリンティング技術を採用して成型している。100点以上の部品を統合してワンピース成型することで溶接工程を省き、製造工程・時間ともに大幅に短縮、あわせてボディ剛性の向上も実現しているという。中国、欧州、米国で200件以上の特許を出願しており、同社が開発したミニバスや移動販売車などは、すでに中国国内や欧州で走り始めている。

金属3Dプリンティングによるシャシイメージ。原理はスケートボード型EVプラットフォームだが
ハンドルもペダルも、そして前後方向の区別もない無人運転車。
一体成型によって溶接工程を大幅に短縮
公式サイトによれば、Robo-Busのボディサイズは全長3810×全幅1960×全高2220mmと意外や見た目よりもコンパクトだ。四輪操舵機能(4WS)も搭載されており、最小回転半径は4.5mと軽自動車並である。乗車定員は最大6名で、運行速度は15〜30km/h。日本国内の一般道を走る場合にはもう少々の余裕が欲しいが、施設の敷地内での安全性を担保した移動を前提にすれば充分な速度ではある。バッテリー容量は21.5kWhと表示されているが、種類をはじめとする詳細は不明だ。
なお、車両にハンドルやペダルはなく、さらに前後の区別がないデザインであるため双方向に進行できる点もユニーク。ひとの乗車が可能なロボットのような乗り物と考えることもできる。軽自動車並の最小回転半径も相まって、法整備さえ進めば都市部でのちょい乗りモビリティとしての活用に期待が持てるだろう。

モジュラー構造の採用で人々の移動用途だけでなく、無人移動販売車などにも転用できる。