※米国・メキシコ・カナダ協定
世界の自動車産業に衝撃。日本も対象
第二次世界大戦以降、米国を中心とした自由主義世界の秩序と経済共栄圏を築いてきた歴史に背を向けたような今回の関税は、欧州や日本、韓国と言った同盟国に一様に衝撃を与えました。
トランプ大統領は4月2日に相互関税(reciprocal tariff)を発表するとしていましたが、例えば日本は輸入自動車の関税はゼロであり、日本から米国への138万台(2024年)の輸出は対象にならないのではという観測もありました。日本政府も対象から外すように繰り返し要請しており、防衛費の増額などを条件に日本車への輸入関税は回避されるのではないか、という期待もありましたが予想は外れました。
米国とFTA(自由貿易協定)を結び、日本より多い154万台を輸出している韓国も同様です。ヒョンデモーターグループはほんの数日前にトランプ大統領立ち会いのもとで、米国生産に今後4年間で210億ドルを新規投資すると発表したにもかかわらず25%の対象となりました。乗用車の場合、従来の2.5%と合計して27.5%の輸入関税がかかることになります。
米オートモティブニュースによれば、マツダは米国販売の81%を、トヨタは50%を、スバルは45%を米国外から輸入しています。トヨタはプリウスやレクサスLXなどを、スバルがフォレスターやクロストレックなどを、マツダがCX-5やCX-90といったSUVを日本から輸入しています。ホンダは販売量の35%をカナダ、メキシコで生産していますが、日本からの輸入はゼロです。三菱は全量が日本とタイからの輸入です。日本の自動車メーカー各社は、非常事態モードに入ると思われます。
米国商務省の統計によれば、2024年の日本からの対米自動車輸出金額は397億ドル(6兆円)に上り、首位のメキシコ(785億ドル)に次いで2番目に多い額です。3位以下は、韓国(366億ドル)、カナダ(311億ドル)、ドイツ(247億ドル)となっており、この5カ国だけで米国の自動車輸入額の74%を占めています。

米国では近年メキシコや韓国からの自動車輸入が飛躍的に増えている。