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【解説記事】本記事を読む前に「ミニカー」とは何かをおさらいしよう!
ひとり乗りEVとして十分なパワー感を実現
前述のとおり、ミニカー区分のEVには法律上「原付一種・特定小型原付と同じ定格出力でバイクよりも重い車体を動かさなくてはならない」という規定があり、ハード面での最大の難題として立ちふさがっているのである。
例えば、特定小型原付の電動キックボードハイエンドモデル「EX15 PRO」が23kgの車体を定格出力0.6kW(最高出力1kW)のモーターで駆動させているのに対して、「mibot」では430kgの車体を定格出力0.6kW(最高出力5kW)のモーターで駆動させている。

16歳以上が免許不要で乗れる特定小型原付でも、上位モデルは定格0.6kWモーターを搭載している。
つまり、単純計算で定格出力ベースでは18.7倍、最高出力ベースでは3.74倍ほど出力重量比が劣ることになる。ところが、実際に運転してみると発進加速、減速性能ともにクルマとして十分なレベルは確保されているという印象を受けた。
今回の試乗コースである自動車教習所の直線でも50km/h弱程度まで加速できたことから、一般道専用のモビリティとしては十分なスペックであると言えるだろう。
教習所内の直線コースを走行するようす。
youtu.beコース途中に設定された坂道発進も難なくクリアし、減速時には回生ブレーキも自然に効かせるなど、ミニカーという規格を超え、EVとしてみても高水準にまとめられている。
また、ボディの剛性感もしっかりとしており、タイヤノイズや路面からの振動の強さが気になることもなかった。
教習所内の上り坂を走行するようす。
youtu.be車体開発責任者の久保昌之氏によると、衝突安全性を確保しつつ前後の重量バランスも意識し、重心高もなるべく低く抑える車体設計に仕上げられているという。
しかも、コンパクトな車体と後輪駆動という組み合わせで、最小回転半径は3.54m(軽自動車は平均4.4mほど)と小回りしやすく、シンプルデザインにより車体の見切りも良好であるため、取り回し含め走行性能で不満を覚えるシチュエーションは少なさそうだ。

コンパクトな車体かつ小回りできるため、狭いクランクの通過も余裕で行える。
S字路、クランクを通過するようす。
youtu.beちなみに、リアのガラスハッチを開けると買い物の荷物を積むのにちょうど良さそうなスペースも用意されているので、①日常使いの実用性を備える、②屋根付きの全天候型、③ひとり乗りのEVとしては高水準の利便性を備えている。

車体後部のハッチを開けると荷物を積載するスペースにアクセスできる。
その期待度の高さは事前予約台数にも現れており、まだ試作車両開発段階で、しかも試乗機会もない状態であるにも関わらず、すでに1911台の予約注文が入っているという。
量産のための工場も新設し、2025年10月からは量産体制に入るというので、ひとり乗りのセカンドカーとして、また家庭用コンセントで充電できるミニEVとして、現在日本でもっとも注目されている1台であることは間違いないだろう。
mibotの発売により、いよいよ日本でも小型EVの普及が進んでいくのか、今後の展開にも期待が高まる。
【主要諸元 mibot】
全長×全幅×全高 :2490×1130×1465mm
ホイールベース :1610mm
車両重量 :430kg
最高出力 :5kW
最大トルク :未公開
登坂性能 :23%勾配
最高速度 :60km/h
バッテリー総電力量 :7.68kWh
充電時間(AC100V) :5時間
航続距離(30km/h定値走行) :100km
駆動方式 :RWD
タイヤサイズ :145/70R12
車両価格 :110万円
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