米国では、2025年2月1日にトランプ大統領がカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税をかける大統領令を出したものの、すぐに1カ月延期するなどさっそく予測できない展開で市場は混乱していますが、自動車ディーラーはトランプ大統領下でのビジネスをどう見ているのでしょうか。米オートモティブニュース(AN)が124社の販売店に対して調査した結果や、NADA(全米自動車ディーラー協会)の年次総会に合わせて、AN紙が行った各ブランドの販売店協議会の会長インタビューなどから読み解いてみます。(タイトル写真は、2024年40万台を米国で販売したホンダCR-Vを生産するカナダのオンタリオ州アリストン工場。同モデルの主力生産拠点だがトランプ関税の影響はどうなるか)

トランプ大統領を歓迎する米国ディーラー

2025年1月2〜16日にかけて実施されたANの自動車ディーラー調査では、3分の2(64%)の販売店がトランプ大統領の就任はビジネスにプラスになると回答しており、マイナスの影響との回答(17%)は少数でした。カナダとメキシコからの輸入品への25%の関税については、「悪影響がある」+「大いに悪影響がある」との回答が7割に上っていますが、それを差し引いても、トランプ氏は「基本姿勢がビジネス重視であり、消費者に安心感を与える(ニュージャージー州のキャデラック販売店)」とみているようです。

最大7500ドルのEVの購入補助が廃止された場合、「悪影響がある」+「非常に悪影響がある」が半数近くありますが、一方で、「消費者はEV(の購入)に興味があるか」という問いには65%が「興味がないし、購入もしない」と回答しており、「興味があり、購入している」の15%、「興味はあるが、購入していない」の20%を大きく上回っています。2024年のEV販売(130万台)の伸び率が2023年比で+7.3%に減速し、市場シェアも8.1%にとどまっている現状を表しているといえそうです。

ミズーリ州のフォード販売店の責任者は、1月末に最南部のルイジアナ州ニューオーリンズまで大雪をもたらした寒波の際に、ミズーリ州の気温は華氏ひと桁(摂氏−10度台)に冷え込み、マスタング マッハEの航続距離(320マイル)が80マイルまで低下したこと。逆に華氏100度(38度)を超える真夏も110マイルに落ちるので、同店のEV販売比率はわずか1%に過ぎないと語っています。

一方で、マンハッタン島の向かいの前述のキャデラック販売店は、「EV補助金が廃止されれば販売は目に見えて減るだろうが、自動車メーカーや政府はすでにEVの製造やインフラ整備に巨額の投資をしているので、一時的なスピードバンプにはなっても長期的にはEVの受容は進む」とみています。

画像: メキシコで生産されるフォード マスタング マッハEは2024年に5万6337台(前年比+26.9%)を販売してテスラ モデルYに次ぐ米国EV販売2位につけた。写真の「スポーツアピアランスパッケージ」など発売4年を経ても製品のアップデートを怠っていない。

メキシコで生産されるフォード マスタング マッハEは2024年に5万6337台(前年比+26.9%)を販売してテスラ モデルYに次ぐ米国EV販売2位につけた。写真の「スポーツアピアランスパッケージ」など発売4年を経ても製品のアップデートを怠っていない。

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