米国では、2025年2月1日にトランプ大統領がカナダとメキシコからの輸入品に25%の関税をかける大統領令を出したものの、すぐに1カ月延期するなどさっそく予測できない展開で市場は混乱していますが、自動車ディーラーはトランプ大統領下でのビジネスをどう見ているのでしょうか。米オートモティブニュース(AN)が124社の販売店に対して調査した結果や、NADA(全米自動車ディーラー協会)の年次総会に合わせて、AN紙が行った各ブランドの販売店協議会の会長インタビューなどから読み解いてみます。(タイトル写真は、2024年40万台を米国で販売したホンダCR-Vを生産するカナダのオンタリオ州アリストン工場。同モデルの主力生産拠点だがトランプ関税の影響はどうなるか)

EV政策は「裸の王様の最たる例」

EVの販売シェアは、カリフォルニア州では20%(含むPHEV)で、コロラド州デンバーや東部のワシントンD.C.やニューヨーク市では10%以上あるのに対し、ミズーリ州やモンタナ州などの広大な中西部やグレートプレーンズでは2〜3%というのが現実です。当然、販売店の見方も地域によって異なり、EVは主要プロダクトのひとつだと考えるディーラーと、メーカーにEVを押し込まれても長期在庫になり、多額の値引きや在庫金利で苦労している販売店の間で評価が大きく分かれます。

ホンダは、日本の自動車メーカーの中では唯一2040年までにエンジン車の販売をやめると宣言してEVシフトを進めていますが、その高級ブランドである「アキュラ」の全米販売店協議会の会長を務めるセントルイス(ミズーリ州)の販売店のカート・マンゲナスト氏は、「EVは政府の補助金と持続不可能な値引きで作られた偽りの需要」であり、「ホワイトハウスの政策と消費者の欲求の乖離の象徴だ」と手厳しい見方をしています。

アキュラは、ホンダ初の米国EVである「プロローグ」と同じくGMのEVプラットフォーム「アルティウム」を採用した中型SUVのZDXを発売したばかりで、さらに2025年末にはホンダ独自のEVプラットフォームによるRSXクーペを導入するだけに、この発言には少々驚かされました。ミズーリ州というEV後進地の販売店の言葉として受け取る必要がありそうですが、「アキュラブランドは、ラグジュアリーというよりインテグラ・タイプSのようなハイパフォーマンスが売り」というマンゲナスト氏は、EVよりもハイブリッド車を求めている顧客の声に耳を傾けて当然と言います。

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