EV政策は「裸の王様の最たる例」
EVの販売シェアは、カリフォルニア州では20%(含むPHEV)で、コロラド州デンバーや東部のワシントンD.C.やニューヨーク市では10%以上あるのに対し、ミズーリ州やモンタナ州などの広大な中西部やグレートプレーンズでは2〜3%というのが現実です。当然、販売店の見方も地域によって異なり、EVは主要プロダクトのひとつだと考えるディーラーと、メーカーにEVを押し込まれても長期在庫になり、多額の値引きや在庫金利で苦労している販売店の間で評価が大きく分かれます。
ホンダは、日本の自動車メーカーの中では唯一2040年までにエンジン車の販売をやめると宣言してEVシフトを進めていますが、その高級ブランドである「アキュラ」の全米販売店協議会の会長を務めるセントルイス(ミズーリ州)の販売店のカート・マンゲナスト氏は、「EVは政府の補助金と持続不可能な値引きで作られた偽りの需要」であり、「ホワイトハウスの政策と消費者の欲求の乖離の象徴だ」と手厳しい見方をしています。
アキュラは、ホンダ初の米国EVである「プロローグ」と同じくGMのEVプラットフォーム「アルティウム」を採用した中型SUVのZDXを発売したばかりで、さらに2025年末にはホンダ独自のEVプラットフォームによるRSXクーペを導入するだけに、この発言には少々驚かされました。ミズーリ州というEV後進地の販売店の言葉として受け取る必要がありそうですが、「アキュラブランドは、ラグジュアリーというよりインテグラ・タイプSのようなハイパフォーマンスが売り」というマンゲナスト氏は、EVよりもハイブリッド車を求めている顧客の声に耳を傾けて当然と言います。
![画像: アキュラ初のEVであるZDXは、GMのテネシー州スプリングヒル工場でキャデラック リリックと同じ生産ラインで作られる。(写真はCES 2025のアマゾンブースで展示されたZDX。著者撮影)](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783662/rc/2025/02/09/e64705d3b89976a25b2fc518022c16a29cf2eb76.jpg)
アキュラ初のEVであるZDXは、GMのテネシー州スプリングヒル工場でキャデラック リリックと同じ生産ラインで作られる。(写真はCES 2025のアマゾンブースで展示されたZDX。著者撮影)
![画像: アキュラが2025年末に生産を開始するRSXクーペはホンダ新開発のスポーツEVとなる。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783662/rc/2025/02/09/7ccda1e42dd46a252803ae0d9e4b138a3084ccbb.jpg)
アキュラが2025年末に生産を開始するRSXクーペはホンダ新開発のスポーツEVとなる。