まさに賛否両論。去る10月10日(現地時間)に開催されたテスラのイベント「WE,ROBOT」が物議をかもしている。テスラファンは熱烈に歓迎した一方、投資家/市場関係者はその実現性に懐疑的で翌11日の株価は9%近く(8.78%)も下落した。どうしてそうなってしまったのか。今回のイベントから垣間見えた将来への期待と不安について、再考してみた。(タイトル写真は「WE,ROBOT」会場で音楽に合わせて踊る最新型オプティマス)
オプティマスの完成度は目標の80%。2万から3万ドル程度に
イベント会場で愛嬌を振りまいていたのがヒト型ロボット「オプティマス」だ。音楽に合わせて踊り、来場者に飲み物を配り、記念撮影にも気さくに応じる。その動きは非常に滑らかで、手指の動きは人間にかなり近づいている。外部から遠隔操作していたという情報の真偽はさておき、すでに機械的にはヒトのような繊細な動きを再現できるレベルに達しつつあるとは言えそうだ。
「現在、楽観的に見ればすでに製品の完成度は80%です。だれでも自分だけのR2D2やC-3POをもてるようになるのです。量産が進めば、2万から3万ドル程度で手に入るようになるかもしれません」とマスクCEOはタイムラインこそ明言しなかったものの、数年以内に発売できると考えているようだ。これもまた希望的な観測ではある。
こうしてみると、たしかに確定事項として発表されたものはほとんどない。今回の目玉だったサイバーキャブでさえまだ流動的である。短期的な見返りを求める投資家が不安になるのも無理はない。とは言え、イベントの目的はあくまで将来ビジョンを見せること。スピーチの冒頭でマスクCEOは「多くのSF映画で描かれる未来は絶望的で誰も望まない世界です。私たちが求めているのは楽しくてワクワクするような未来です」と語りかけている。
「WE,ROBOT」でその思い描くユートピアの片鱗を見せたテスラ。イーロンタイムと揶揄されるも、ぶち上げた計画を必ず実行に移すCEOが率いる企業が次になにを発表するのか。早くも市場関係者のあいだでは、「2025年の第2四半期決算発表でなにか新たな発表があるらしい」と囁かれているようだが果たしてどうなるか。