サイバーキャブと新FSD〜レベル4以上の完全自動運転は確定
具体性に欠けたイベントだったとはいえ、今後の株価上昇の起爆剤となりえる材料を散りばめたイベントであったことも間違いない。ここであらためてマスクCEOのスピーチ内容を検討してみたい。
【イベントで明かされたサイバーキャブ関連情報のまとめ】
・正式車名は「CYBERCAB(サイバーキャブ)」。
・次世代ハードウェア「AI 5(エーアイファイブ)」および「非監視型FSD」による自動運転車。
・ステアリングホイールとペダル類は存在しない。
・2人乗りであり、車両後部には十分なトランクスペースを備える。
・ボディパネルはアルミニウム製(サイバートラックのようなステンレススチールではない)で骨格はスチール。
・非接触充電方式に特化(NACS充電ポートはない)。
・“2027年より前に”生産を開始したい。
・監視不要FSDによる公道走行は2025年にカリフォルニア州とテキサス州で可能になる。
・販売価格は3万ドルを下回り、個人でも購入可能になる見込み。
イーロン・マスクCEOは、「まもなくテスラはUn-Supervised(監視の必要がない)な完全自動運転に移行するでしょう」と明言した。さらに「(サイバーキャブは)眠っている間に目的地に到着する」とも。つまりサイバーキャブはレベル4(=特定条件下における完全自動運転)、もしくはレベル5(=条件のない完全自動運転)のいずれかだ。
また、法人向け販売に限られるとの事前予想を覆し、3万ドル以下=2万ドル台で一般ユーザーも購入できることを検討していることも明らかにした。もっとも、肝心のフリート事業については、「Uberやリフティが10〜20台のサイバーキャブを購入してフリート運営を行うというビジネスモデルも生まれる」、「羊飼いが羊を管理するようにフリートのクルマを管理する」と曖昧だ。これだけではビジネスモデルとその事業規模感が明快ではない。
外部充電ポートのない非接触充電専用車であるとともに、充電中はロボットによる清掃作業が並行して行われるビデオも紹介。ペットボトルの片づけ、車内の掃除機掛け、除菌作業など、車外から伸びたロボットアームがすべてを行う様子は画期的だったが、非接触充電器を含めこの設備をどこにどのように導入するのかは一切触れられなかった。