カリフォルニア/テキサス州限定でレベル4のFSD配布開始へ
サイバーキャブの発売に先立ち、「2025年内にカリフォルニア州とテキサス州に限定で、監視がない自動運転FSDの配布を開始する」ことも発表された。まずはモデル3/モデルYからOTA(オーバー・ジ・エア)で配布が始まるという。おそらくレベル4相当であり、現状の最新版FSD Ver12.5のバージョンアップ版(Ver13.0か?)になる可能性が高い。現在カリフォルニア州とテキサス州で運行しているWeymoのロボタクシーと同じレベル4と考えてよいだろう。
サイバーキャブに搭載されるFSDのベースとなるものであり“特定条件下における完全自動運転”の何たるかを体験することはできる。「最終的にすべてのテスラ車は監視無しの完全自動運転が可能になります」というマスク氏のスピーチはやや誇張した感もあるが、今回のイベントの中では唯一タイムラインを明示している点で注目しておきたいポイントだ。
サイバーキャブの量産開始は2026年? 2027年になるかも……
一方、肝心のサイバーキャブの市場投入時期については「2026年、遅くとも2027年には生産を開始したい」と述べるにとどまった。明言を避けたのは、おそらく当局による許認可のハードルがとてつもなく高いからだろう。ステアリングホイールとペダルがないクルマは、すでに2022年に米運輸省は認可したものの、それを商業運行で認可した州は現状ない。
ときに“イーロンタイム”と言われ、計画の遅延に無頓着なマスクCEOが珍しく弱気の発言をしたのは、この難問の解決がいかに難しいかをうかがわせる。また、生産工場をどこに置くかも気になるところ。「とにかく大量に生産するつもりだ」とマスクCEOは語ったが、それはテキサス工場だけでは難しいはず。メキシコの新工場が有力な候補と思われるが、それにも触れられなかった。
では、サプライズ公開された「サイバーバン」はどうか。マスクCEOは、「モデルYより大きなクルマが必要になった場合の我々の答えがこれだ」と語った。最大20人まで乗車可能であり、貨物輸送車としても利用できるので都市部の高密度輸送の問題も解決できるという。しかも生産計画があり、外観は今回のコンセプトモデルのようになるそうっだ。
それ以上の言及はなかったが、少なくとも新たな市場に向けたプロジェクトが始動している様子はうかがわれた。あと数年のうちに実現するとは思えないが、2030年前後には具体化する可能性はある。