CX-8の実質的な後継モデルとして登場するCX-80
2000年代から始まったと言われるSUVブームも長きに渡っているが、20年以上経過したいまもニューモデルが多く登場して拡大傾向は続いている。SUVとひとことで言ってもボディタイプはさまざまで、クーペルックSUVやMPVをリフトアップしたモデルなど、ユーザーを飽きさせない新しいクロスオーバーモデルが登場していることも人気が持続する要因のひとつではないだろうか。
そうした幅広いカテゴリーの中でも、日本市場で存在感を強めているのが3列シートSUVだ。古くからあるボディタイプではあるものの、子育てをひと区切りしたミニバンユーザーや、より広いスペースを求めるステーションワゴンユーザーによる乗り換えも多いのだという。
3列シートSUVのなかでも2017年に登場したマツダ CX-8は、CX-5ゆずりのスタイリッシュなデザインや、ランニングコストとパワー特性に秀でるディーゼルエンジンを用意、大人でもしっかり座れる3列目シートなどが評価されて、モデル末期にあたる2023年も通年で約1万7000台を販売する人気モデルだった。
パワートレーンはPHEV、ディーゼルMHEV、ディーゼルの3つ
そんなCX-8が2023年12月に生産を終了したのち、2024年4月に欧州で発表された新たな3列シートSUVがCX-80だ。CX-60やCX-90などからなるマツダ ラージ商品群の一角で、マイルドハイブリッド(MHEV)やプラグインハイブリッド(PHEV)といった電動化パワートレーンを用意してエンジンを縦置きすることで、より上級志向のユーザーニーズに応えつつ、力強くフラットな乗り心地、優れたパッケージングによる使い勝手の良い居住空間を実現しているという。
フロントマスクは兄弟モデルにあたる2列シートSUVのCX-60とイメージを同じくする、力強く存在感のあるものに見えるが、ボディデザイン全体で見れば水平基調と直線基調をより強めた印象だ。ホイールベースは3mをゆうに超えて3120mmに、全長は約5mとしていること、そしてサイドウインドウ後端のモールを極太のクロームメッキパーツとしていることも、伸びやかさを演出する要素となっている。
インテリアにおいても、2列目ヘッドクリアランスやリアドア開口部の拡大、3列目からの視野拡大など、居住快適性を向上させるデザインが採用されている。構成部品の形状を工夫することでボディサイズ拡大以上の効果を生み出しているという。とくに2列目ショルダールームはCX-8と比較して103mmも広くなっている。全幅は45mmの拡大だから、パッケージングの良さが光るデザインといえるだろう。
興味深いのは2列目シートの形状を3パターン用意していること。独立したキャプテンシートの2座(6人乗り)はCX-8にも用意されていたが、CX-80ではセンターウオークスルーできるタイプとセンターコンソールを配置したタイプのふたつを設定、そして3人掛けのベンチシートタイプ(7人乗り)となる。
2列目乗員の快適性を優先するのか、3列目シートを日常的に使うのか、ラゲッジスペースをフルフラットにして長尺物を積載したいのかなど、多くのニーズに対応できるラインナップだ。
日本国内仕様は3つのパワートレーン、2.5L 直4ガソリン+PHEVによる「e-SKYACTIV PHEV」、3.3L 直6ディーゼルの「SKYACTIV-D3.3」、3.3L 直6ディーゼル+MHEVの「e-SKYACTIV D」が用意されて、いずれもトランスミッションはトルクコンバーターレスの8速AT、グレードによって4WDだけでなくFRも用意される。
こうした構成はCX-60と共通するところもあるが、実は今回の発表でパワートレーンの詳細や車両価格などの情報は公開されなかった。発売を予定されている2024年秋に向けて少しずつ公開されていくのはないかと思われる。
マツダ CX-80 主要諸元
●全長×全幅×全高:4990×1890×1705〜1710mm
●ホイールベース:3120mm
●車両重量:1990kg(XD)〜2240kg(PHEV)
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FR/4WD
●最小回転半径:5.8m
●最低地上高:170mm