2024年7月31日(現地時間)、アウディ次世代EVの嚆矢として2021年春に初公開された “A6 e-tron concept”が、3年余を経て「A6 e-tronスポーツバック/アバント」としてドイツ本国で発表された。PPEプラットフォームを採用したアウディ車としては、今年3月に発表されたQ6 e-tronに続く第2弾となる。ボディタイプはスポーツバック(4ドアクーペハッチバック)とアバント(ワゴン)の2タイプ、駆動方式は後輪駆動と全輪駆動がラインナップされる。2024年9月から欧州で発売が始まる予定だ。

A5と対をなす新EV専用シリーズ、新型A6がついに登場

先日(現地7月16日)、新たなネーミングを与えられて発表された新A5シリーズと対をなす新EVシリーズが「A6 e-tron」だ。2021年の上海モーターショーで初めてそのコンセプトモデル(スポーツバック)が公開されて早3年余、ポルシェと共同開発された次世代プレミアムEV専用の「PPEプラットフォーム」搭載車としては今春発表されたQ6 e-tronに続く第2弾となる。

アウディは2024年から2025年にかけてモデルラインアップを再編し、車名の数字も偶数はEVモデル、奇数は内燃機関搭載モデルと明確に差別化する。なのでA6 e-tronもA5シリーズとイメージは重なるところも多いが、中身はまったくの別物と言っていい。グレード構成は、4ドアクーペスタイルの「スポーツバック」とワゴンの「アバント」の後輪駆動を基本として、スポーティなトリムの「パフォーマンス(performance)」もラインナップされる。一方、前後輪にモーターを備える全輪駆動(クワトロ)を採用する「S6」もスポーツバックとアバントに設定される。ボディタイプ2種、駆動方式2種が新生A6 e-tronの基本的なラインナップだ。

画像: ハッチゲートを備えた4ドアクーペのスポーツバック(写真はA6スポーツバックe-tron performance)。

ハッチゲートを備えた4ドアクーペのスポーツバック(写真はA6スポーツバックe-tron performance)。

画像: ワゴンタイプとなるアバント(A6アバントe-tron performance)。

ワゴンタイプとなるアバント(A6アバントe-tron performance)。

A5とイメージを共有しながら中身はまったくの別物

PPEプラットフォームによるEVアーキテクチャーはもちろん、フロントマスクはバンパー、グリル、2分割されたヘッドランプユニット、そしてボンネットフードなどA6 e-tron専用のデザインが採用され、A5との差別化が図られている。リアまわりにもスポイラーや大型のディフューザーが装着され、スポーツバックのCd値は0.21、アバントも0.24という空力的にも優れた性能が与えられている。

画像: 最大の特徴が上下に分割されたヘッドランプユニット。第二世代デジタルOLEDテクノロジーによる「アクティブデジタルライトシグネチャー」をQ6 e-tronについで採用している。

最大の特徴が上下に分割されたヘッドランプユニット。第二世代デジタルOLEDテクノロジーによる「アクティブデジタルライトシグネチャー」をQ6 e-tronについで採用している。

一方、インテリアのデザインモチーフや機能は、先に発表されたQ6 e-tronから多くを継承している。MMIパノラミックディスプレイは、11.9インチのアウディバーチャルコックピットと14.5インチのMMIタッチディスプレイで構成され、10.9インチのMMI助手席ディスプレイもオプション設定されている。新たに追加された「アダプティブ・ドライビング・アシスタント・プラス」は、クラウドに集約された高解像度の地図データや他車両の群データを活用してドライバーの運転行動をサポートする機能だ(※国や地域により機能に制限あり)。前方のルートを算出し、全速度域や渋滞下での快適な運転を実現する。インテリジェントなコネクトカーへとまた一歩近づいた。

画像: Q6 e-tronに通じる一貫したデザイン処理を採用。(写真はA6スポーツバックperformance)。

Q6 e-tronに通じる一貫したデザイン処理を採用。(写真はA6スポーツバックperformance)。

上述のとおり、駆動方式はリアモーター/後輪駆動と前後モーター/全輪駆動の2種類。PPE採用車専用に開発されたバッテリーは12個のモジュールと180個の角型セルで構成されたリチウムイオンで、駆動方式に関わらず総容量100kWh(正味94.9kWh)を誇る。一充電あたりの航続距離はA6スポーツバックe-tronが最高756km、A6アバントe-tronが同じく720kmを達成した。パフォーマンスは0→100km/h加速は5.4秒、最高速度は210km/hだ。一方、全輪駆動のS6の航続距離は、スポーツバックが最高675km、アバントが同674kmとなる。どちらも0→100km/加速3.9秒、最高速度は240km/hまで高められている。

画像: 800VオペレーションのPPEプラットフォーム。写真のS6は後輪に加え前輪側にもモーターを追加したクワトロ。

800VオペレーションのPPEプラットフォーム。写真のS6は後輪に加え前輪側にもモーターを追加したクワトロ。

欧州では2024年9月から受注を開始する。ドイツでの価格は「A6 スポーツバックe-tron performance」が7万5600ユーロから、S6スポーツバックe-tron」が9万9500ユーロからと発表された。アバントはそれぞれ1650ユーロ加算されるとのこと。日本ではQ6 e-tronの発売が2025年春と見込まれており、A6 e-tronの発売は当然ながらそれよりも後になるだろう。

【主要諸元 A6 スポーツバックe-tron performance】
ボディサイズ:全長1923×全幅4928×全高1455mm
ホイールベース:2950mm
車両重量:2175kg
駆動方式:1モーター式後輪駆動
モーター最高出力:270kW(280kW:ローンチモード使用時)
モーター最大トルク:565Nm
バッテリー種類:リチウムイオン
バッテリー総容量:100kWh(正味94.9kWh)
サスペンション形式:前後5リンク(マルチリンク)
タイヤサイズ:前225/55R19 後245/50R19
一充電航続距離(WLTC):673-756km
最高速度:210km/h
0→100km/h加速:5.4秒

【主要諸元 S6アバント e-tron】
ボディサイズ:全長4928×全幅1923×全高1493mm
ホイールベース:2950mm
車両重量:2335kg
駆動方式:2モーター式全輪駆動
モーター最高出力合計:370kW(405kW:ローンチモード使用時)
モーター最大トルク:前275Nm 後580Nm
バッテリー種類:リチウムイオン
バッテリー総容量:100kWh(正味94.9kWh)
サスペンション形式:前後5リンク(マルチリンク)
タイヤサイズ:前235/45R20 後265/40R20
一充電航続距離:609-647km
最高速度:240km/h
0→100km/h加速:4.1秒

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