地域モビリティの発展に貢献するインフラ企業を目指すスズキ
温室効果ガスや大気汚染物質の排出量を削減した環境負荷の低いモビリティ、そして日本が抱える運転手不足による移動手段の減少といった課題の解決手段と言われる、いわゆる次世代モビリティは燃料電池車や電動バイク、空飛ぶクルマ(Advanced Air Mobility)や自動運転車両などさまざまな形態で開発が行われている。
近年コンセプトモデルの発表や実証実験の実施などのニュースを目にする機会も増えているが、そうしたなかでも、クルマやバイクだけでなく船外機や電動車いすも開発・販売するスズキの動きが活発化しているように見える。
2023年のジャパンモビリティショーでは牛フン由来のメタンガスを燃料とするワゴンR CBG車を発表、モータースポーツの世界では水素燃料エンジン車のHySE-X1でダカール2024に共同で出場、2024年3月にはSkydriveと共同開発した空飛ぶクルマの生産を開始、原付一種電動モペッド「e-PO」の実証実験を開始するなど、次世代モビリティ関連の情報は数の多さもさることながら、多種多様だ。
まさにスズキが標榜する、交通環境の課題解決に向けて全方位でアプローチする「マルチパスウェイ」の方針を体現しているようだ。
自動運転のジャンルでも日本国内外での開発、実証実験が行われている。オーストラリアではApplied EVと共同で、ジムニーのラダーフレームに自動運転車両プラットフォーム「Blanc Robot」を組み合わせた大型電動台車の開発を開始、地元静岡県浜松市では交通空白地の住民の足となりうる自動運転サービスの実証実験を過去4回にわたって実施し、社会実装に向けての取り組みは継続中だ。
そして2024年6月17日、スズキはさらに自動運転技術の研究開発・社会実装を促進させるため、自動運転システムを開発するティアフォー社との資本業務提携を発表した。
ティアフォー社はオープンソースのソフトウェア「Autoware」をプラットフォームに活用しつつ、地域や社会からの需要に対応する拡張性の高い解決策を提供する企業。
スズキはティアフォー社との提携により自動運転移動サービスに必要不可欠な技術開発を加速させ、人の生活に密着した地域モビリティの発展に貢献するインフラ企業を目指すとしている。浜松市で行われてきた自動運転サービス実証実験の次回において、同システムが導入される可能性が高い。