航続可能距離を伸ばすだけでなく安全性も高めるパッケージOP
全長約4.9mのラージサイズSUVでありながらクーペルックの流麗なルーフラインを持つアウディのEV「Q8スポーツバックe-tron」は、2023年3月の大幅アップデートで搭載する駆動用リチウムイオンバッテリーを改良。電極材の隙間を減らすスタッキング方式を採用したことで、容量は20%拡大して114kWhに、またセル内の化学物質配合を変更したことでエネルギー効率も向上していた。
さらにエクステリアデザイン変更にともなう空力性能の向上と、モーターの効率化などの要素によって、満充電による航続可能距離は501km(WLTCモード)にまで伸びていた。
そして今回、アウディジャパンはQ8スポーツバック 55 e-tron クワトロ Sライン(1317万円)に、新たなオプション「レンジプラスパッケージ」(36万円)を設定して発売した。その名のとおり航続可能距離を伸ばすための装備をパッケージとしてまとめたもので、装着することによって118km伸びて619kmになる。
バッテリー容量を拡大することなく、20%以上のロングレンジ化を図ったパッケージの中身はといえば、意外にもふたつだけだ。
ひとつは、19インチアルミホイール+255/55R19タイヤを組み合わせたもので、標準装着の20インチアルミホイール+255/50R20タイヤよりワンサイズ小さくなる。重量にまつわる情報はないものの、風の流れを最適化するフラットなホイールデザインとすることで空力性能を向上、さらに転がり抵抗を軽減するタイヤを装着することで効率化が図られている。
そしてもうひとつが、標準の光学式サイドミラーを小型カメラによるデジタルサイドミラー「バーチャルエクステリアミラー」に変更するというもの。Aピラー付け根部分に空力性能に優れた形状のカメラが装着され、車内のドアトリムに配置されたOLEDタッチディスプレイに後方の映像を映し出す。
その効果は空力特性だけでなく、走行時の風切り音を低減することによる静粛性能向上、大きな光学式サイドミラーがなくなったことで死角は減り、そして降雨や降雪などの荒天時でも後方をクリアな映像で確認できるなど、快適性、視認性、安全性をも高める装備である。
またタッチディスプレイを操作することによって、カメラからの視界位置や角度などを調整可能で、駐車時、右左折時、高速走行時などさまざまなシーンでの活躍が期待できる。
空力性能の重要性を改めて感じさせたパッケージオプションである。
アウディ Q8スポーツバック 55 e-tron クワトロ Sライン 主要諸元
●全長×全幅×全高:4915×1935×1620mm
●ホイールベース:2930mm
●車両重量:2600kg【2570kg】
●モーター:EAS-EDE型/前後2モーター
●システム最高出力:300kW(408ps)
●システム最大トルク:664Nm
●バッテリー総電力量:114kWh
●WLTCモード航続距離:501km【619km】
●駆動方式:4WD
●タイヤサイズ:255/50R20【255/55R19】
●車両価格:1317万円【1353万円】
※【】内はレンジプラスパッケージ装着車