2024年4月11日、ステランティスN.V.はアルファロメオのコンパクトクロスオーバーSUV「ミラノ(MILANO)」を発表した。フルバッテリーEVの「エレットリカ(ELETTRICA)」のほか、1.2L直3ターボエンジン(156ps/260Nm)を搭載したマイルドハイブリッドの「イブリダ(IBRIDA)」もラインナップされているが、ここではEVを中心に紹介していこう。※2024年4月15日、アルファロメオはミラノの名称を「ジュニア(JUNIOR)」に変更することを発表した。

まるでホットハッチのようなデザインのクロスオーバーSUV

アルファロメオブランドにスポーツハッチが復活した、そう思わせるほどにアグレッシブなデザインを持って登場したミラノは、過去に登場したミト(MiTo)とジュリエッタ(Giulietta)の間に位置するような全長4173mm×全幅1781mm(イタリア仕様)というサイズ。2000年代に販売され、日本だけでなく世界中で愛されたアルファ147とほぼ同じで、こうした旧世代モデルのオーナーにとっては待望のコンパクトカーではないだろうか。

とはいえミラノはブラックのフェンダーアーチモールを装着し、またハッチバックと言うには少し高めに設定された1505〜1535mmの全高もあって、SUVとのクロスオーバーモデルと言った方がしっくりくる。それでもフロントからサイドにかけての低く構えたフォルムや、ボディ後端をスパッと切り落としたような「切り詰められたテール」は1960年代に登場したジュリアTZを彷彿とさせるスポーティなものになっている。

画像: 写真は20インチアルミホイールを装着するヴェローチェ。18インチの標準モデルも同様に、円をモチーフにしたスポークデザインのアルミホイールとなる。

写真は20インチアルミホイールを装着するヴェローチェ。18インチの標準モデルも同様に、円をモチーフにしたスポークデザインのアルミホイールとなる。

そうしたデザインの中でも、盾型フロントグリルに目を惹かれる。従来アルファロメオのエンブレムは盾の上辺にあったが、ミラノではボンネットフードの先端に移動、さらに逆三角形の中のメッシュをエンブレムの一部を模したデザインでカバーされているのだ。これはスポーツグレードにあたるVELOCE(ヴェローチェ)のもので、標準グレードには別デザインのメッシュグリルが用意されているようだ。

いずれにしても、盾から羽が生えているようなコの字を描くヘッドライトとエアインテークの造形、大きなフロントアンダーグリルなど、アグレッシブなデザインにまとめられている。

ドライバー優先のコクピットデザイン

こうした姿形によるスポーティさだけではなく、ドライビングテイストはジュリアGTAを開発したチームによってクラス最高の走行安定性(ロードホールディング)を実現したと豪語する。ステアリングギア比は、一般的な乗用車でおよそ17:1、スポーティカーで15:1と言われる中でミラノは14.6:1とかなりクイックな設定をされている。連続するコーナーをクリアしていくときのレスポンスよく駆け抜けるような、軽やかなハンドル感覚を期待してしまう。

しかも、スポーツグレードのヴェローチェは全高を25mm下げるスポーツサスペンションと、フロントとリアに装着されたスタビライザーによってスポーティで素早いコーナリングを実現している。アルファロメオ独自のドライブモード「ALFA DNA」でダイナミックモードを選択すれば、ハンドリングやアクセルレスポンスなどが変化し、パフォーマンスとドライビングプレジャーを高次元で両立させているという。標準で18インチのアルミホイールも、ヴェローチェでは20インチとなる。

画像: 車高を25mm下げるスポーツサスペンションを装着したヴェローチェ。

車高を25mm下げるスポーツサスペンションを装着したヴェローチェ。

ふたつのEVグレードはともにFWDで、搭載するモーターパワーは「エレットリカ」で156psを発生、「エレットリカ ヴェローチェ」で240psと、異なる設定となる。いずれも54kWhの駆動用リチウムイオンバッテリーを搭載して、航続可能距離はWLTPモードで408km(エレットリカ)となっている。

インテリアデザインはスポーツカーブランドらしく「ドライバー志向」。小径のステアリングホイールや双眼鏡のようなデザインのメーターデザインは伝統的で、純粋なスポーツ性を感じられるポイントになっている。興味深いのはセンタークラスターにある10.25インチのディスプレイで、一般的にはドライバーの目線移動を短くするため高い位置に置かれることも多いが、ミラノでは比較的低い位置にドライバーへ向けるような配置となっている。タッチ式ディスプレイをよりハンドルに近い位置とすることで、操作性を優先した設計なのかもしれない。

画像: クアドリフォリオ(四つ葉のクローバー)の形をしたエアコンの吹き出し口デザインを特徴とする。

クアドリフォリオ(四つ葉のクローバー)の形をしたエアコンの吹き出し口デザインを特徴とする。

このほか、コンパクトEVにもかかわらずラゲッジスペース容量は400Lに達し、ハンズフリー技術を搭載して手軽にアクセスできること、ボンネットフード下に充電ケーブルを収納できるフランク「アルファロメオケーブルオーガナイザー」を設置。先進運転支援システムも、レベル2自動運転(アダプティブクルーズコントロール)のほか半自動駐車システムを搭載するなど、利便性を高める機能を有しているのもポイントだ。

欧州ではすでにローンチエディションとなる「ミラノ エレットリカ スペチアーレ(SPECIALE)」の予約注文が始まっている。活況を呈している日本のコンパクトSUV市場への投入時期についてアナウンスされていないが、期待値は相当に高いはずだ。

ローマは良くて、ミラノはダメ? なぜだ

なお、この発表から1週間も経たない2024年4月15日、アルファロメオは急遽モデル名を「ジュニア」に変更することを公表した。その理由は、ミラノを名称に使用することが「イタリアの法律で禁止されている」と政府から通達があったからだという。

「ローマ(フェラーリ)は良くて、ミラノはダメ」とする線引きはまったく理解できないが、新しく与えられた名称は1960年代に発表され、高水準のパフォーマンスと大きな販売台数を記録した偉大な名車「GT 1300ジュニア」から受け継いだ由緒正しいもの。こちらの方がよっぽどアルファらしく、良い名称ではないか。日本の公道で走れる日が楽しみだ。

※2024年5月7日に記事の一部を修正、また追記しました。

【動画】アルファロメオ ジュニア

画像: NEW ALFA ROMEO MILANO: SPORTINESS GOES COMPACT youtu.be

NEW ALFA ROMEO MILANO: SPORTINESS GOES COMPACT

youtu.be

アルファロメオ ジュニア ラインナップ(欧州仕様)

ジュニア エレットリカ(156ps/260Nm・FWD)
ジュニア エレットリカ ヴェローチェ(240ps/−Nm・FWD)
ジュニア イブリダ(1.2L直3ターボ:136ps/260Nm・FF)
ジュニア Q4イブリダ(1.2L直3ターボ:136ps/260Nm・4WD)

アルファロメオ ジュニア エレットリカ 主要諸元(欧州仕様)

●全長×全幅×全高:4173×1781×1532mm
●ホイールベース:2562mm
●車両重量:−kg
●モーター:交流同期電動機
●最高出力:115kW(156ps)
●最大トルク:260Nm
●バッテリー総電力量:54kWh
●WLTPモード航続距離:408km
●駆動方式:FWD
●タイヤサイズ:215/55R18

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