出展は激減。ルノーと中国のBYDやMGモーターなどに止まる
ジュネーブショーは、空港から直結した展示場PALEXPOで開催され、全部で7ホールの会場を効率よく歩いて回れるショーでした。ジュネーブはフランスに国境を接し、イタリアからも近いため、フランスとイタリアの自動車メーカーが例年存在感を示していましたが、ドイツ、日本、韓国など世界の主要な自動車メーカーが勢揃いし、またイタリアのカロッツェリアや中小のスーパーカービルダーなども出展する国際色豊なモーターショーで、最新のデザイントレンドやカスタムカーの動向を鑑賞でき、「ジュネーブサロン」としても親しまれてきました。
それが今回は、自動車メーカーの出展はルノーグループとBYDなどの中国勢、日本からはいすゞのみで、使用されたのは2番と4番の2ホールという寂しい状況となりました。ジュネーブショーでは各自動車メーカーの出展位置は大体決まっていて、そのスペースの特徴を活かして各社がブースの意匠を凝らしていましたが、今回はホール4からホール2に登るエスカレーターを背にした広いスペースで個性的な展示をしていたルノーと、その隣の日産の定位置だった場所に同グループのダチアが陣取るという配置になっています。
ルノーはルカ・デメオCEOが欧州自動車工業会(ACEA)の会長を務めることもあり、伝統的な自動車メーカーでは唯一の出展となりましたが、同CEOがモーターショー好き(欧州ルノー関係者の話)というのもあえて出展を決めた理由かもしれません。
ルノー5のパプリックデビュー。価格は2万5000ユーロ前後から
ルノーは、昨年11月のアンペア社の設立発表時にお披露目したルノー5(EV)のパブリックデビューが話題の中心でした。全長3.92m、全幅1.77mのBセグメントサイズのボディに40kWhと52kWhの2種類のサイズのバッテリーを用意し、300〜400kmの航続距離を確保。内装では10インチのセンターディスプレイと音声コマンドを装備した最新のインフォテイメントが用意されます。すでに発売されているシトロエンe-C3などと共にこのクラスのEVを牽引していくことが期待されます。
ルノーは、EV専業として本体から分離独立したアンペア社の株式上場を延期しましたが、今後もルノー4やトゥインゴEVを2026年までに発売する予定で、EV化のペースに変化はないようです。デメオ会長はメディアとの質疑で、EV販売の減速に伴い一部で懐疑論が出始めているCO2排出規制について、「ACEAとして2035年の内燃エンジン車の禁止に注文をつけるつもりはない」と発言しています。
昨年65万8000台(+14.7%)を販売して存在感を増しているダチアブランドも、コンパクトSUVのダチア・ダスターと、市場で最も安価なEVであるダチア・スプリングの新型をお披露目しました。ダチア・スプリングは中国製で2023年12月からフランス政府の補助金の対象外になりましたが、2023年欧州で6万台を販売しており、EV小売販売(企業向けフリート除く)では第3位とのことです。2万ユーロ以下で買えるEVとしてしばらくは人気が続くでしょう。