2024年2月26日から、2019年以来5年ぶりのジュネーブ国際モーターショー(GIMS)が始まりました。2020年3月にコロナ感染急拡大のため開幕数日前にキャンセルとなって以来実施のタイミングを失い、昨年カタールでスピンオフイベントが開催されたことを除けば、実に丸5年も空いたことになります。伝統のモーターショーはさぞかし盛況かと思いきや、幕が開いてみれば出展社は激減し、コロナ禍を挟んで自動車ショーをめぐる環境が180度変わったことを印象付ける結果となりました。(タイトル写真は2019年のジュネーブショー。写真提供:GIMS。以下特記しない場合は同様)

MG3と上級ブランドIMモーターの新型車を披露した上海汽車

2023年に欧州での販売を23万台と倍増させ、英国を中心に存在感を増しているMGモーターは、スモールハッチバックモデルのMG3の新型を発表しました。目玉は初のハイブリッドモデル(Hybrid+)で、1.5Lのガソリンエンジンに100kWの強力なモーターを搭載して、トヨタ・ヤリスやルノー・クリオなどのHEVのライバル車を凌ぐ加速性能(0→100km/h加速8.0秒)を誇ります。2万ユーロを切る価格はライバルより1割安く、特にMGブランドのお膝元の英国では、販売が終了したBセグメントの王者フォード「フィエスタ」の市場を継承して旧モデルの3倍の販売を目指していると英自動車誌Autocarは報じています。

MGのトップセラーであるCセグメントSUVのMG ZSや、昨年欧州で7万2000台を販売した人気EVのMG4に加えて、EVスポーツカーの「サイバースター」の導入も控えており、製品ラインアップを強化するMGは中国車ブランドのリーダーとしての地位を固めそうです。

画像: MG3は全長4.1m、全幅1.8m、全高は昨今のSUVブームを加味して1.5mと高め。1.83kWhのバッテリーを搭載し、CVTではなく3速の変速機を採用してスポーティな走りを実現。80km/hまでモーターのみで加速する。CO2排出量は100g/km。

MG3は全長4.1m、全幅1.8m、全高は昨今のSUVブームを加味して1.5mと高め。1.83kWhのバッテリーを搭載し、CVTではなく3速の変速機を採用してスポーティな走りを実現。80km/hまでモーターのみで加速する。CO2排出量は100g/km。

また上海汽車(SAIC)の上級ブランドであるIM(※1)モーターも、ミッドサイズセダンEVの「L6」をお披露目して2025年の発売に向けて欧州デビューを飾りました。アウディがこのIMモーターの技術を活用して中国向け製品を開発するとされており、0→100km/hの加速3秒、航続距離は最大800kmの高性能と最先端の自動運転技術を誇るとされるモデルです。※1:Intelligent Mobilityの略

画像: SAICとアリババグループなどが2020年に設立したIMモーターは、全長4.9m、ホイールベース2.95mのアッパーミドルセダン「L6」で欧州デビューを飾った。

SAICとアリババグループなどが2020年に設立したIMモーターは、全長4.9m、ホイールベース2.95mのアッパーミドルセダン「L6」で欧州デビューを飾った。

2023年欧州で1万5000台を販売したBYDは、昨秋のIAAモビリティでもミッドサイズの「シール」やプレミアムブランド「デンツァ(騰勢)」のミニバン「D9」を発表して話題を呼びましたが、今回は、ジャパンモビリティショーでも展示された高級車ブランド「仰望(ヤンワン)」のスーパーSUV「U8」や、「シール」のプラグインハイブリッド車を披露しました。昨年300万台を販売し、第4四半期にはEVの販売台数でもテスラを抜いたBYDは、同年末にハンガリーに欧州生産工場を建設することを発表しており、同社の攻勢は2024年も続きます。

画像: 仰望U8(左)とシールPHEV(右)をお披露目したBYDは、2月27日にスイスとリヒテンシュタインの現地販売ディストリビューターを発表した。

仰望U8(左)とシールPHEV(右)をお披露目したBYDは、2月27日にスイスとリヒテンシュタインの現地販売ディストリビューターを発表した。

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