航空機でよく聞くワード基本編
「~TOL(~take-off and landing)」
VTOLやSTOLなど、離着陸方法による区分で頻出するフレーズなので、ぜひ覚えていただきたい。意味は英語で「離着陸」を意味する「take-off and landing」のイニシャルをとって省略したものだ。
「CTOL(conventional take-off and landing、通常離着陸)」
CTOLは「シートール」と発音し、滑走路をめいっぱい滑走して離着陸する従来型の離陸方法のことを表している。conventional(コンベンショナル)は「従来の~」などといったニュアンスがあることからも、なんとなく意味を理解できるかもしれない。
なんてことないごく普通の離着陸方法であるため、普段の会話で「CTOL機」と呼ばれることは少なく、後述の「VTOL」や「STOL」と比較する際などに用いられることがある程度だ。
「STOL(short take-off and landing、短距離離着陸)」
STOLは「エストール」と発音し、明確な定義はないが従来型の航空機よりも短い距離で離着陸可能な機体に対して「STOL機」と呼ぶ。
軍用機、特に輸送機に多いタイプで、有名なものだと最新国産輸送機「C-2」が最短離陸滑走距離500mを実現している。
STOL機では、一般的に翼面荷重の低減や高揚力装置の強化,エンジンの排気を翼で下方に偏向するシステムなどで離着陸速度を低下させていることが多い。
「VTOL(vertical take-off and landing、垂直離着陸)」
VTOLは「ブイートール」と発音し、垂直離着陸を表す。軍用機、とくに航空母艦で運用される艦載機に多く見られる離着陸方式で、世界初の実用垂直離着陸機「ハリアー」や米軍や自衛隊が配備している「オスプレイ」などは有名だ。
ちなみに、VTOLは翼からの揚力に頼らずエンジンパワーのみで離着陸する関係上、離陸重量に制約が生まれてしまうため、効率の悪い垂直離陸は基本的には行われず、短距離離陸と垂直着陸を組み合わせて運用されることが多い。
「eVTOL(electric vertical take-off and landing、電動垂直離着陸)」
電動の推進器を利用したVTOLのこと。大阪・関西万博の目玉とされている「空飛ぶクルマ」は基本的にこのタイプのことを指し、ドローンを大型化して有人飛行可能にしたような見た目をしていることが多い。(ドローンは、遠隔操作または自動操縦で飛行する無人機のこと)