ホンダセンシング360+はまず中国向けアコードに搭載
17のゴールと169のターゲットで構成される国際目標SDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)の中には、交通事故による死傷者を減らすという項目がある。
これに対して、「交通機関というものは人命を尊ぶものである」という創業者 本田宗一郎氏の想いをいまも開発理念に据えているホンダは、「2030年までに交通事故死者数を半減」、「2050年に交通事故死者数をゼロにする」という段階的な目標を設定している。
このゴールに向けてホンダは、歩行者飛び出しを予測判断するAI、二輪車用の姿勢制御システム、ヒューマンエラーの原因解明と対策といった研究開発のほかにも、教育やインフラ整備など多方面からアプローチしている。
その中でも先進運転支援システム(ADAS)が目標クリアのための大きな要素になるとして、独自のホンダセンシングの進化を急ピッチで行ってきた。そして2022年にフロントカメラと5台のミリ波レーダーなどを組み合わることで周囲360度をモニターする「ホンダセンシング360」を新型CR-Vとともに中国市場へ投入。日本においても2024年春の発売を予定している新型アコードに搭載されることがすでに発表されている。
そんな中、ホンダセンシング360をさらに進化させた「ホンダセンシング360+」を2023年11月17日に発表。2024年に中国向けアコードに搭載したのち、グローバル展開をしていくという。
カーナビ経路案内との連動で、高速道路の分岐にも対応
ホンダセンシング360+では、新たにドライバーモニタリング用のカメラを設置し、運転中に体調が悪化するなど変化を読み取るとドライバーへの警告を段階的に強めて、それでも操作がなされないと周囲への注意喚起を行いながら同一車線で減速・停車する「ドライバー異常時対応システム」を採用。また専用のアプリをダウンロードすることで緊急通報サービス「HELPNET」の利用もできるという。
新搭載のもうひとつのシステムが高精度地図だ。これによりドライバーの疲労軽減に大きく貢献するハンズオフ機能が追加されることになる。
高速道路をはじめとする自動車専用道路において、クルマがアクセル・ブレーキ・ハンドル操作を自動で行い、車線内走行を維持するというもの。ドライバーは周囲の環境に注意しながらも、操縦せずに走行することができる。自車位置を特定する衛星測位システムと組み合わせることで、カーブに進入する前に曲率に合わせた減速→加速も自動で行うという。
また、ハンズオフ機能を使った走行中に速度の遅い先行車を検知し、追い越しできると判断するとドライバーに通知、承認されると車線変更→追い越し→車線復帰を行うほか、高速道路の分岐(経路誘導モード)に対応した車線変更をするなど、新たな機能が盛り込まれている。
新型アコードの日本仕様説明会で、2025年に進化型ホンダセンシング360を用意すると言われていたが、これがホンダセンシング360+だと考えられる。360と同様に標準装備なのか、それとも別グレードやオプション設定となるのか、いまのところアナウンスはない。