去る2023年11月15日(現地時間)、ルノーは恒例の投資家向けイベント「ルノー・キャピタル・マーケット・デー」を開催。11月1日に設立を発表したばかりの新会社「アンペア(Ampere)」の事業戦略を明らかにした。2024年にはセニックと“5”(サンク)、2025年にSUVの“4”(キャトル)、2026年にはトゥインゴのEVをそれぞれ発売。さらに2027〜28年には、現在のガソリン車と変わらない価格の新型CセグメントEVを実現するという。(タイトル写真は「トゥインゴE-TECHエレクトリック」のプロトタイプを前にアンペアの事業戦略を語る同社のルカ・デメオCEO[ルノーCEOと兼任])。

ルノーグループの事業再編から誕生。欧州初のEVとソフトの専業会社

「アンペア(Ampere)」は、ルノーの事業再編計画の一環によりEV関連部門(EVおよびソフトウェア開発の部門)を分離・独立させたルノーグループの新会社。設立は2023年11月1日だ。およそ15年にわたるルノー社内でのEV開発で蓄積した知見を活用し、機敏で効率的な組織を組み合わせて、主に欧州市場向けルノーブランドのEVを設計開発から製造販売まで一貫して行うEV/ソフトウェア事業会社である。従業員数は1万1000人以上となり、そのうち35%がエンジニアという。

アンペアには日産自動車、三菱自動車も出資しており、今後も3社連合が進めるEV開発を加速させていく。次期型の日産マイクラはアンペアとの共同開発車であり、生産もアンペアが行う。また、三菱も欧州市場向けEVのOEM供給(第一弾はメガーヌE-TECHベースか)を受ける。

「SDV」を最短時間で実現するため米国のビッグプレイヤーともタッグ

アンペアが目指すのは、いわゆる「SDV(Software Defined Vehicle)」、つまりソフトウェアを中心に設計されたEVの開発だ。車両のライフサイクルを通じてアップグレードし、ユーザーの使用状況を学習していく。

開発時間の短縮を図るため、車両の開発はBセグメントとCセグメントに特化する。SDVによるEV専用プラットフォームとして「AmpRスモール(Bセグ用:CMF-EV B後継)」と「AmpRミディアム(Cセグ用:CMF-EV後継)」を開発。部品点数を抑え、開発/生産時間を短縮することでコストを40%削減することを見込んでいる。

画像: SDV時代を見すえた2種類の新世代EVプラットフォーム(Bセグ用とCセグ用)を開発。

SDV時代を見すえた2種類の新世代EVプラットフォーム(Bセグ用とCセグ用)を開発。

さらに開発のパートナーとして、米クアルコム(Qualcomm)と米グーグル(Google)とも協業。クアルコムとはSnapdragonデジタルシャーシをベースにした高性能コンピューティング(ソフトウェア基盤)プラットフォームを、グーグルとはAndoroid Automotiveベースの車載オペレーティングシステムの共同開発が進行中だ。メガーヌE-TECHエレクトリックから実装が始まったマルチメディアシステム「OpenR Link」は、グーグルとアンペアによる共同開発の最初の成果である。

画像: グーグルと共同開発したインフォテインメントシステム「OpenR Link」はすでに実装が始まっている。(写真:セニックE-TECHエレクトリック)

グーグルと共同開発したインフォテインメントシステム「OpenR Link」はすでに実装が始まっている。(写真:セニックE-TECHエレクトリック)

ガソリン車並みの価格を実現する次世代バッテリーの開発も進行中

次世代バッテリーの開発も進行しており、車両の重量を増やさずに航続距離を伸ばし、コスト低減を実現する。パワートレインの高効率化と部品点数の削減を図り、2027年には現在のガソリン車と同等の車両価格を実現する“第2世代EV”の投入を始めるとのことだ。

画像: 次世代バッテリー&パワートレインは航続距離を伸ばしながら高効率なパッケージングで小型化&コスト圧縮。2027年に投入予定の第2世代Cセグ車から採用が始まる。

次世代バッテリー&パワートレインは航続距離を伸ばしながら高効率なパッケージングで小型化&コスト圧縮。2027年に投入予定の第2世代Cセグ車から採用が始まる。

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