2023年10月20日、ヤマト・インダストリーとIATは「ジャパンモビリティショー2023」にて、日本市場導入予定のEV商用バンと、フルサイズのEVピックアップトラックのコンセプトモデルを展示することを発表した。

ヤマト・インダストリーと「JEMY」ブランド

ヤマト・インダストリーは1937年に創業した、樹脂部品及び物流機器の製造・販売を行う会社。また、同社と資本・業務提携しているIATは、2001年に日本で創業した自動車エンジニアリング会社で、現在では中国最大の自動車開発代行企業に成長しているそうだ。

画像: ジャパンモビリティショーでのブース展示イメージ

ジャパンモビリティショーでのブース展示イメージ

ヤマト・インダストリーは、日本の電動モビリティ事業分野へ参入するにあたり、「JEMY」ブランドを新たに設立した。JEMYは「Japanese Electric Mobility by Yamato Industry」の頭文字から来ており、「日本の電動モビリティ文化をヤマト・インダストリーが変えて行く」という思いが込められている。

展示車の詳細

JEMY EV48(市販予定モデル)

EV48は中国のスタートアップ企業「金琥汽車(JENHOO Auto)」が2023年春から量産を開始したEV商用車に、日本市場で求められる仕様変更を加えたもの。「JEMY」ブランドの完成車第一弾として、日本に輸入、販売が行われる予定である。

構想段階からEV商用車として最適化されており、リヤモーターによる後輪駆動、バッテリーの車両中央配置、ロングホイールベース、ショートオーバーハング、完全フラットフロアなど、物流を担う商用車にふさわしい設計が施されている。

画像: 日本市場導入を予定するEV商用バン「JEMY EV48」

日本市場導入を予定するEV商用バン「JEMY EV48」

人員輸送用途を考慮せず100%貨物用途に割り切ることで、サイドパネルは窓枠プレスが一切ないスムーズな形状となり、ユーザーの自由なグラフィック表現を可能としたほか、運転席/助手席と荷物室を完全に隔離できる引き戸式のパーティション、長尺物でも側面から積み降ろしが可能な助手席側Bピラーレス構造と大開口スライドドア、ワンタッチで作業机に変身する助手席などにより、物流現場の様々なニーズに応えることが可能になっている。

日本仕様では、スーパーハイルーフと組み合わせることで完全ウォークスルーが可能で、貨物配送業者が前屈みになることなく、自然な姿勢で荷物室内を移動できるため、身体的負担の軽減に貢献するという。発売時期は現時点では未定だが、非常に興味深いモデルであることは間違いない。

●全長×全幅×全高:4860×1750×2420mm
●ホイールベース:3160 mm
●乗車定員:2名
●最大積載量:1.375t (中国仕様 日本法規に準じる)
●最大出力:60 kW
●モーター定格/最大トルク:200Nm / 300Nm
●バッテリー容量:40.55 kWh
●航続距離:305km (CLTC)

T-MAD(コンセプトモデル)

T-MADは、日本初公開となるフルサイズピックアップトラックのコンセプトモデルで、IAT独自開発の大型EVプラットフォームを採用し、合計600kWの高出力モーターをフロントとリヤに1基ずつ搭載。一充電あたり600kmの航続距離を確保し、拡張バッテリーの追加により最大800kmまでの走行が可能という実用性を持つ。

画像: フルサイズEVピックアップトラックのコンセプトカー「T-MAD」

フルサイズEVピックアップトラックのコンセプトカー「T-MAD」

デザインはIATデザインと長年日産デザインを牽引した中村史郎氏率いるSN DESIGN PLATFORMが共同で行った。デザインコンセプトは「未開の地を走破するスペースシップ」で、大開口のピラーレス観音開きドアを持つエクステリアは、強烈なインパクトを残す非常に大胆なフォルムが特徴的だ。

インテリアは、コクピット感のあるセンタードライビングポジションとユニークな菱形シートレイアウトが採用され、ロングスライド&回転シートなどによる多彩なシートアレンジが、快適なコミュニケーション空間を演出している。

●全長×全幅×全高:5878×2198×2029mm
●ホイールベース:3622mm
●乗車定員:5名(1+2+2)
●最大出力:600kW(前後輪合計)
●0→100km/h加速:4.0秒
●航続距離:600km(拡張バッテリー追加で800km)
●自動運転:レベル4対応

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