独自の主翼上面エンジン配置による高い静粛性や機体の安定性で人気のホンダジェット。現在販売されているベリーライトジェット機の「ホンダジェット・エリートII」に続き、ひとクラス上のライトジェット機カテゴリーへの参入を発表していたが、このたび米国で開催されたビジネス航空機ショーでその新型機の名称が発表された。さらにスペックの一部や市販までのロードマップも明らかになっている。(タイトル写真はエシュロンの飛行イメージ)

「空のモビリティ」を追及するホンダの次なる一手

10月16日(北米時間)、ホンダの航空機事業子会社であるホンダ エアクラフト カンパニー(Honda Aircraft Company 以下、HACI)は、米国ネバダ州ラスベガスにて開催されている世界最大のビジネス航空機ショー「2023 ビジネス アビエーション コンベンション アンド エキシビション(2023 NBAA-BACE)」にて、2021年に発表したライトジェットカテゴリー機のコンセプトモデル「ホンダジェット2600コンセプト」をベースにした新型小型ビジネスジェット機の名称「ホンダジェット・エシュロン(HondaJet Echelon)」を発表した。

「エシュロン(Echelon)」とは、航空機の“梯形編隊飛行”を意味し、高効率な空力性能を実現する飛行パターンとして、燃費やCO2排出量削減などに効果があると言われている。また同時にフランス語でプレミアムカテゴリーを指す言葉として使われることから、ホンダジェットブランドの最上級モデルという意味も込められている。

画像: 現在販売されている「エリートII(写真)」はベリーライトジェットクラス。今回発表された「エシュロン」はひとクラス上のライトジェットクラスになる。

現在販売されている「エリートII(写真)」はベリーライトジェットクラス。今回発表された「エシュロン」はひとクラス上のライトジェットクラスになる。

現在販売されているベリーライトジェット機の「エリートII」は、最大巡航速度が422ノット(約782km/h)、最大運用高度4万3000フィート(約1万3106m)、航続距離は1437ノーティカルマイル(2661km)。機体後部にエンジンを直接取り付ける一般的なビジネスジェットに対して、エリートIIはエンジンを主翼上面に取り付けるなどホンダ独自の構造を採用しており高い静粛性能も実現している。定員は乗員1名+乗客7名、または乗員2名+乗客6名だ。ちなみに機体の大きさは全長12.99m×翼幅12.12m×全高4.54m。客室寸法は全長5.43m×全幅1.52m×全高1.47mである。

ライトジェット機初のアメリカ大陸ノンストップ横断を可能に

今回発表された「エシュロン」は、そのひとつ上のライトジェット機カテゴリーに属する新型小型ビジネスジェットである。最大巡航速度が450ノット(約834km/h)、最大運用高度4万7000フィート(約1万4326m)、航続距離は2625ノーティカルマイル(約4862km)を実現する。

定員は乗員1名+乗客10名または乗員2名+乗客9名。機体の大きさは全長17.62m×翼幅17.29m×全高4.84m。客室寸法は全長7.74m×全幅1.55m×全高1.59 mである。長距離飛行に適した広いキャビン空間とエリートIIを凌ぐ高い静粛性を実現し、より上位の機体カテゴリーと同等レベルの飛行体験の提供を目指している。

画像: 「エシュロン(写真は飛行イメージ)」はクラス初の無給油で北米大陸横断の実現が目標。2028年の型式指定を目指し、2026年からテスト飛行を行う。

「エシュロン(写真は飛行イメージ)」はクラス初の無給油で北米大陸横断の実現が目標。2028年の型式指定を目指し、2026年からテスト飛行を行う。

独自の主翼上面エンジン配置、自然層流翼型・ノーズ、コンポジット胴体を継承・進化させることにより、同カテゴリーのライトジェット機よりも20%、さらに上位カテゴリーの中型ジェット機よりも40%以上燃費を向上させることで、ライトジェット機では初となるノンストップのアメリカ大陸横断(ニューヨークーロサンゼルス間)を実現するのが目標だ。

まずは2024年半ばに初号機製造を開始し、2026年の初テスト飛行を実施、2028年の型式証明取得を目指して、今後開発を進めていく。

画像: 独自の主翼上面エンジン配置をさらに発展ん・進化させて高い静粛性を実現する(画像は「エリートII」)。

独自の主翼上面エンジン配置をさらに発展ん・進化させて高い静粛性を実現する(画像は「エリートII」)。

HACI取締役社長の山崎英人氏は発表に際してその意気込みを次のように語っている。「エシュロンは、従来の小型ビジネスジェット機での移動の常識を覆し、航空業界に新たな価値を創造します。これまでに培ってきたHonda独自の先進技術のノウハウを生かし、時間や移動距離といった制約から人を解放し、持続可能な社会の実現と人々の生活の可能性を拡げる喜びを提供していきます。Hondaの夢見る“空のモビリティ”の実現に向けて一歩前進し、次なるステージへと進みます」

陸・海そして空へ、多様なモビリティを展開し続けるホンダ。まもなく開幕する「ジャパンモビリティショー 2023」でも、未来につながるさまざまな「夢」を見せてくれそうだ。

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