今月のドイツ出張では、前半は古都マインツの近くに住む友人宅にお世話になり、後半にミュンヘンに移動してIAAを取材しました。速度無制限のアウトバーンは、ドイツのモビリティの象徴的存在であり、400〜500kmなら鉄道よりも自動車での移動を選択する人も多いお国柄です。アウトバーンの充電環境はどうなのか、EVではどの程度のスピードで走ることができるのか、実体験をお伝えします。(タイトル写真は、バーデン・ヴュルテンベルク州のエネルギー会社EnBWの急速充電ステーション)

充電はQRコードからの決済で無事完了

このEnBWの充電スポットは一機(4口)が300kWのパワーで、全部で12機24口もある立派なものでしたが、クレジットカードとQRコードからの決済のどちらも上手くいかず困っていたところ、近くで充電していたキュプラEVの女性が声をかけてくれました。彼女の助けを借りてもその充電器では結局決済できなかったのですが、隣接するガソリンスタンドにも2機ほど充電器があるのを見つけてくれて、そちらの充電器ではQRコードを読み込むと、なんと日本語で表示され、めでたくカード決済できました。

ここでの正確な充電量は分かりませんが、最初は80kW程度の出力で入り始め、45分間で100%になったので、おそらく30kWhは入ったでしょう(Atto3の電池容量は60.5kWh)。充電後は電池残量100%、航続距離420kmの表示にきっちり戻りました。

画像: ガソリンスタンドにあった充電器で充電中は隣接するマクドナルドでランチ。

ガソリンスタンドにあった充電器で充電中は隣接するマクドナルドでランチ。

アウトバーンで120km/h、右端レーンの走行はややフラストレーション

EVの宿命ですが、速度が100km/hを超えると電費が目に見えて悪化していきます。勾配にもよりますが、Atto3でも100km/hだと100km走行あたり15〜20kWh、120km/hだと20〜25kWhの電力消費となり、それ以上だと電池がみるみる減っていきます。追い越しレーンをBMWやメルセデス、テスラ(!)が160km/h以上で抜いていく中、3レーンの右端か真ん中を120km/hを維持して走るのは結構ストレスがたまります。最高速を試すためにメーター読みで170km/hまで出しましたが、本来なら150km/hアベレージで行きたいところを我慢を強いられました。 

画像: A6線はほとんど3車線で流れは良い。

A6線はほとんど3車線で流れは良い。

結局、ミュンヘン中央駅のSixtにはバッテリー残12%(走行可能レンジ50km)で到着しました。正確な電力使用量はメモし損ないましたが、大体80kWh程度を使用したと思われます(電費にすると18kWh/100km、5.6km/kWh)。

画像: 目的地に到着した際、全行程の電費などを示した画面を撮り忘れた。SOC 80%以上で返却する場合はもう一回充電する必要がある。

目的地に到着した際、全行程の電費などを示した画面を撮り忘れた。SOC 80%以上で返却する場合はもう一回充電する必要がある。

時間とコストを考えれば鉄道利用が圧倒的に有利

今回のトリップは、充電時間や休憩を入れて6時間程度の移動になると事前に予想していました。実際は、筆者の体調の関係で100kmごとに休憩をしたり、充電に手間取ったりしたので、9時半にマインツを出てミュンヘンに着いたのは17時を回ってしまい、7時間半もかかったことになります。体調が普通で充電もスムーズなら6時間でいけたと思いますが、エンジン車なら5時間以内、飛ばせばノンストップ4時間切りもできたと思うので、やはりEVでの長距離移動は余裕を持って動ける人でないと、フラストレーションが溜まりそうです。

画像: 時間はかかったが、ミュンヘン中央駅(写真奥)に無事到着。

時間はかかったが、ミュンヘン中央駅(写真奥)に無事到着。

コスト的には、EVのレンタカーが車両保険やVAT(19%)を含めて220ユーロ、充電料金が30.15ユーロ(4898円)で合計250ユーロでした。これをほぼ同価格のVWゴルフのディーゼルを利用すれば、燃料代41ユーロ(6560円)で(※3)EVの方が少しお得だったことになります。※3:燃料を20km/L、軽油1L=1ユーロ85セントで計算。

ちなみに同区間を鉄道(ICE)で移動した場合は、マインツを9:42に出てフランクフルトで乗り換え、ミュンヘンには13:26に着きます(3時間44分)。料金は69.90ユーロです。そう考えるとコストでは鉄道が1/3で、時間ではクルマは飛ばせばほぼ同等。到着駅からの最終目的地までの移動を考えると、クルマを選ぶ人がいても不思議ではありません。

画像: 軽油が1リッターで1ユーロ84セント、ガソリンが1ユーロ96セントと価格が逆転している。1ユーロ=160円で換算すると300円を超える。

軽油が1リッターで1ユーロ84セント、ガソリンが1ユーロ96セントと価格が逆転している。1ユーロ=160円で換算すると300円を超える。

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