「IAAモビリティ 2023」は、2021年にフランクフルトから開催地を移した際に、メッセ会場に加えて、ミュンヘン市の旧市街(アルトシュタット)のパブリックスペースを展示場に当てたことがユニークでした。ひたすら広大な首都ベルリンや、旧市街が第二次世界大戦の空爆でほぼ失われたフランクフルトに比べ、ミュンヘンには古い教会やバイエルン皇帝時代の壮麗な宮殿が今も残っています。古都の建造物の合間に設けられた展示空間を、そぞろ歩きしながらクルマを眺められる体験は、ミュンヘン市民にとってもとても好ましいもののようです。

アウディとポルシェもブランドのキャラクターを上手く演出

アウディとポルシェは、オデオン広場から西に入ったところに仲良く並んで展示しています。アウディは最新のe-tronモデル各種に2022年に発表した「アクティブスフィア」というフルサイズのクロスオーバーSUVのコンセプトカーを展示。ポルシェは、最新の718スパイダーRSやニュルブルクリンク最速を目指すEVハイパーカー「ミッションX」、60周年記念限定車の911S/Tを縦に並べてレーシングのDNAを強調した展示でした。

画像: アウディ「アクティブスフィア」は、未来のEVモビリティの提案の4台のうちのひとつ。

アウディ「アクティブスフィア」は、未来のEVモビリティの提案の4台のうちのひとつ。

画像: ポルシェは往年の911を筆頭にミッションXや911S/Tなどを展示。

ポルシェは往年の911を筆頭にミッションXや911S/Tなどを展示。

ケーニヒス広場へは少し歩くがEV専業の新興ブランドもじっくり見られる

Open Spaceで1箇所だけ少し歩くのが、ケーヒニス広場のスペースです。ギリシア式建築の美術館の前ではライブコンサートなどがよく開かれるようで、今回も巨大なステージが設置されています。その前部にフォード、テスラ、シャオペン(Xpeng)、アメリカの新興の高級EVメーカー「ルーシッド(Lucid)」などがブースを出しています。

フォードはEVのクロスオーバー「マッハ−E GT」や「F-150 ライトニング」など米国市場で人気のあるモデルと、欧州から先に導入される新型エクスプローラー(EV)に関連する展示などでしたが、このエリアは全体に見学者は少なめでした。テスラも発表したばかりの改良型のモデル3とモデルYの2台のみで、かなり売れているドイツのモーターショーで一応の存在を示すため、という感じの内容でした。

画像: フォードもEVモデルを前面に押し出す展示内容。新型エクスプローラーEVに大きな期待がかかる。

フォードもEVモデルを前面に押し出す展示内容。新型エクスプローラーEVに大きな期待がかかる。

画像: VWと提携した中国のEVメーカーのシャオペン(Xpeng)のブースはBYDと比べると随分と控えめ。

VWと提携した中国のEVメーカーのシャオペン(Xpeng)のブースはBYDと比べると随分と控えめ。

VWが1000億円かけて5%の株を取得した中国の新興EVメーカーのシャオペンは、慎ましいスペースにP7とG9というフルサイズのセダンとSUVを展示していましたが、内装などを見る限り、四角いディスプレイを何枚も横に並べたようなデザインで、個人的にはあまり魅力的だとは思えません。それでも、ドイツのご婦人方が馴染みない中国ブランドのクルマに乗り込んで色々と確認していたのは、やはり自動車に対する興味が高い国だなと思わせました。

アメリカの新興高級EVメーカーのルーシッドがそのセダンAirを3台も展示していたのは予想外でした。最上級グレードは1234馬力でテスラ「モデルS Placid」に匹敵するスーパーEVですが、空力を極力追求した滑らかな外観デザインや、レンジ800kmを超えるバッテリー性能で、富裕層のクルマ好きから支持を受けているようです。欧州最大の自動車市場ドイツは、高級車メーカーにとっては外せない国であることを窺わせます。

画像: ルーシッド・エアの滑らかなサーフェスは高級感があり、インテリアもセンターディスプレイパネルが格納式でスッキリしている。

ルーシッド・エアの滑らかなサーフェスは高級感があり、インテリアもセンターディスプレイパネルが格納式でスッキリしている。

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