完全スタンドアローン型で“どこでも急速充電”
EVの充電は、自宅で充電(基礎充電)→長距離ドライブなど道中での継ぎ足し充電(経路充電)→目的地での充電(目的地充電)が基本だ。自宅や目的地では普通充電器による充電、先を急ぐ経路充電では急速充電器が用いられるのは、理にかなっているのだ。
とは言え、外出先でいつも都合良く急速充電器が見つかるとは限らない。充電器の設置場所がわかるアプリもあるが、先に利用者があれば待機しなければならないし、地域によっては急速充電器の設置数が十分ではないところもある。そうこうするうちに電池の残量はどんどん減っていくという悪循環に陥ってしまい、“電欠”の二文字が脳裏をよぎる。
JAFのロードサービスカーが現場に急行して急速充電を行うサービスの試験運用も始まっているが、このサービスカーに搭載されているのが、ポータブルEV急速充電器「Roadie V2」。茨城県つくば市に本社を置くBell Energy株式会社が、米国SparkCharge社と共同開発した、完全スタンドアローン設計のポータブル急速充電器だ。
「Roadie V2」は、日本初のモジュール式ポータブル急速充電器であり、すでに国内販売・受注台数が100ユニットを突破している。製品の仕様はEVの充電に特化したタイプと、災害時などにも活用できる蓄電池タイプを用意している。
<CHAdeMO/CCS1ユニット仕様>
・最大出力:20kW(500kW40A)
・充電規格:CHAdeMO/CCS1
・ケーブル長:2.2m
・重量:23.2kg
<蓄電池ユニット>
・定格容量:3.45kWh
・出力電圧:DC85V?134.4V
・充電方法:AC100Vで約4時間
・重量:33.4kg
主な納入先は前出のJAF(一般社団法人日本自動車連盟)を始め、国内自動車メーカー、レッカー・ロードサービス会社、損害保険アシスタント会社、輸入車インポーター、大手自動車部品販売会社、産業技術研究所(入札)など多方面にわたる。
固定式充電器を設置する際には、電源設備の容量不足や充電場所が限定されるなどのハードルがあるが、コンパクトで運搬可能な「Roadie V2」ならばそんな課題は解消。「どこでも急速充電」が可能になる。
さらにBell Energyでは、9月1日より「Roadie V2」のレンタル業務も開始。オプションとしてテスラ車用のアダプター(Tesla純正品)も用意するなど、さらなる普及を目指している。できれば計画的な運行を心がけて、「Roadie V2」のお世話にならずに済ませたいところだが、そうはいかないのが世の常。ともあれ、EVオーナーに心強い助っ人が登場したことに拍手を送りたい。