鍵となるのは車載OS「アリーンOS」
「クルマ屋の創るBEV」と謳うトヨタ、その根幹を支えるのが自社の車載OSである「Arene OS(アリーンOS)」だ。いわゆるSDV(ソフトウエア・デファインド・ビークル)の考え方に基づいて車両全体の統合制御を行う「ソフトウェアプラットフォーム」だ。
クルマ全体の司令塔のようなものである。その指令をもとに各コンポーネントの機能を制御するミドルウェアである「電子プラットフォーム」、そして車台やバッテリーなどの「車両プラットフォーム」に重層的に重なるものだ。
先進安全技術やマルチメディアなど時代の変化に合わせた機能をOTAでアップデートする機能は、BEVに限らず、すでに一部車種の限られた範囲で実装が始まっているが、次世代のBEVではこれらに加え、走る、曲がる、止まる、など「乗り味」のカスタマイズ、さらにその先にある自動運転領域が視野に入っている。
この「アリーンOS」の実装を前提に公開された技術群を整理すると、2026年から登場する次世代のBEVのアウトラインが見えてくる。
■次世代音声認識
■マニュアルBEV
■走り味をオンデマンドで変更可能
■ステアバイワイヤ
■ナビゲーションの地図更新が即日(地図自動生成)
■次世代自動駐車機能
人とクルマが会話する次世代音声認識
従来の音声認識でしばしば感じられるのは反応の遅さ。また車両の機能にかかわる部分の操作は、空調やエンタテインメント機能などごく限られた範囲だった。次世代音声認識システムでは、まるでオペレーターと対話しているような自然なコミュニケーションが可能となり、さらに200以上もの車両機能を音声で操作することが可能になる。
MT車のような操る楽しさを実現するマニュアルBEV
アリーンOSによって初めて可能になるハードウェアとソフトウェアの統合制御技術。スイッチひとつで通常はBEVならではのスムーズな走行、ツイスティな山岳路ではマニュアルモードに切り替えてクルマを操る愉しみを堪能することができる。OTAでのバージョンアップも可能であり、ギミックと片付けるにはあまりに高度な制御技術だ。
走り味やエンジン音までオンデマンドで変更可能
ソフトウエアをOTAでアップデートすることにより、モーターの出力特性や疑似エンジン音を変更。昔乗っていた懐かしのクルマ、走りを極限まで追求したスーパースポーツカー、将来乗ってみたい憧れのあのクルマまで、1台のクルマでさまざまな乗り味を楽しめるようになる。