トヨタは自社のBEV(バッテリーEV)が「クルマ屋がつくるBEV」であることを繰り返し表明してきた。去る6月8日に開催された「Toyota Technical Workshop」では、車台やバッテリー戦略に加え、「知能化」の進展によって実現する近未来について具体的な技術の一端を公開した。そこには「クルマ屋が創るBEV」のアウトラインが見えた。

鍵となるのは車載OS「アリーンOS」

「クルマ屋の創るBEV」と謳うトヨタ、その根幹を支えるのが自社の車載OSである「Arene OS(アリーンOS)」だ。いわゆるSDV(ソフトウエア・デファインド・ビークル)の考え方に基づいて車両全体の統合制御を行う「ソフトウェアプラットフォーム」だ。

クルマ全体の司令塔のようなものである。その指令をもとに各コンポーネントの機能を制御するミドルウェアである「電子プラットフォーム」、そして車台やバッテリーなどの「車両プラットフォーム」に重層的に重なるものだ。

先進安全技術やマルチメディアなど時代の変化に合わせた機能をOTAでアップデートする機能は、BEVに限らず、すでに一部車種の限られた範囲で実装が始まっているが、次世代のBEVではこれらに加え、走る、曲がる、止まる、など「乗り味」のカスタマイズ、さらにその先にある自動運転領域が視野に入っている。

画像: アリーンOSを搭載すると先進安全技術をアップデートできる他、乗り味のカスマイズもできる。

アリーンOSを搭載すると先進安全技術をアップデートできる他、乗り味のカスマイズもできる。

この「アリーンOS」の実装を前提に公開された技術群を整理すると、2026年から登場する次世代のBEVのアウトラインが見えてくる。

■次世代音声認識
■マニュアルBEV
■走り味をオンデマンドで変更可能
■ステアバイワイヤ
■ナビゲーションの地図更新が即日(地図自動生成)
■次世代自動駐車機能

人とクルマが会話する次世代音声認識

従来の音声認識でしばしば感じられるのは反応の遅さ。また車両の機能にかかわる部分の操作は、空調やエンタテインメント機能などごく限られた範囲だった。次世代音声認識システムでは、まるでオペレーターと対話しているような自然なコミュニケーションが可能となり、さらに200以上もの車両機能を音声で操作することが可能になる。

MT車のような操る楽しさを実現するマニュアルBEV

アリーンOSによって初めて可能になるハードウェアとソフトウェアの統合制御技術。スイッチひとつで通常はBEVならではのスムーズな走行、ツイスティな山岳路ではマニュアルモードに切り替えてクルマを操る愉しみを堪能することができる。OTAでのバージョンアップも可能であり、ギミックと片付けるにはあまりに高度な制御技術だ。

画像: まさに「クルマ屋がつくるBEV」。マニュアルシフトの醍醐味とクルマを操る愉しさを提供する。(写真はテスト車両)

まさに「クルマ屋がつくるBEV」。マニュアルシフトの醍醐味とクルマを操る愉しさを提供する。(写真はテスト車両)

走り味やエンジン音までオンデマンドで変更可能

ソフトウエアをOTAでアップデートすることにより、モーターの出力特性や疑似エンジン音を変更。昔乗っていた懐かしのクルマ、走りを極限まで追求したスーパースポーツカー、将来乗ってみたい憧れのあのクルマまで、1台のクルマでさまざまな乗り味を楽しめるようになる。

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